最新記事

中国社会

我慢の限界!外出禁止中の中国・西安当局を動かした、市民「激怒の行動」

China Residents Rebel Against COVID Lockdown, Take to the Streets in Video

2022年1月21日(金)18時32分
ジョン・フェン

不穏な様子が見られるようになったのは、今週に入って西安市内の一部の住宅地でロックダウンが解除され始めたときだった。1月18日と19日の両日に新規感染者が出なかったのを受け、一部の公共交通機関や企業などが再開された。新規感染者ゼロは昨年以来、初めてだった。

ソーシャルメディアの投稿によると、フアチェンの住民は、地区に課されている措置のレベルを、ロックダウンからコントロールに引き下げ、ある程度の行動の自由を許してほしいと訴えた。不動産管理会社が配布したとされる通知を撮影した画像には、地元当局がその訴えを聞き入れ、水曜日に変更が発表されると書かれている。

ところが、木曜日に配られた別の通知には、訴えは拒否されたと書かれていた。1月に入ってから陽性者が出た隔離施設に滞在歴のある住民が帰宅するというのがその理由だ。通知には、フアチェンの住民は土曜日に改めて、措置レベルの引き下げを申し立てることができると書かれていた。これに住民が激怒した。

住民は「権利を守った」と勝利宣言

再び公開されたウェイボの動画を見ると、多数の人が不動産管理会社の事務所に押し寄せ、ロックダウンを終了するよう求める様子が映っている。社員が警察に通報すると、住民は大声をあげた。到着した警察が、住民ともみあいになったようだ。

すると数時間後に国営メディアは、フアチェンのマンション群の複数エリアについて、措置をロックダウンからコントロールに引き下げると報じた。住民たちは、「権利を守る」ために自分たちが抗議をしなければ、措置が変更されることはなかったと述べ、勝利を宣言した。

中国では、2度のワクチン接種を完了した割合が人口の90%近くに上っている。しかし、中国はゼロコロナを掲げる数少ない国のひとつであり、その方針をいまだに変えていない。中国のゼロ・トレランス(不寛容)の姿勢は、今年いっぱい続く見込みだ。

2月には北京で冬季オリンピックが開催されるほか、春と夏にもさまざまなスポーツ大会が予定されている。また秋には、第20回中国共産党全国代表大会が開かれ、習近平が国家総書記として史上初となる3期目を確実にすると見られている。

公衆衛生措置は、住民にとっては過酷だが、効果はきわめて高い。西安市では12月9日以降の新規陽性者数が2000人を超えているが、市内でのクラスターは沈静化したようだ。

1月20日に中国の国家衛生健康委員会が行った発表によれば、1月19日に報告された有症の国内感染者は全体で43人だった。そのうちの10数件は、北京から南東部に130kmほど離れた海沿いの天津市で確認されている。北京では公衆衛生当局がオミクロン株のクラスターを追跡中で、1月20日には5人の感染が新たに判明した。
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ボーイング機墜落、米当局が現地で調査開始 印当局が

ワールド

イラン世界最大級ガス田で一部生産停止、イスラエル攻

ビジネス

米主要港ロサンゼルス、5月の輸入は前年比9%減 対

ワールド

ベトナム、米との貿易交渉進展 主要な問題は未解決
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中