最新記事

中国社会

我慢の限界!外出禁止中の中国・西安当局を動かした、市民「激怒の行動」

China Residents Rebel Against COVID Lockdown, Take to the Streets in Video

2022年1月21日(金)18時32分
ジョン・フェン
中国・西安のデモ

@TragedyInChina1/Twitter

<あまりに過酷なロックダウン生活に悲鳴を上げる住民たちが、規制の緩和を求める「実力行使」で、ついに当局に方針変更させた>

中国北西部の西安市の住民たちは、それまで1カ月にわたって強制されていた厳重な「ロックダウン」を緩和させることに成功した。中国では珍しいことのようにも思えるが、地元住民たちによる「抗議」によって、当局が方針を変更したのだ。

中国の主要ソーシャルメディア「微博(ウェイボ)」に投稿された動画(現在は削除)には、陝西省西安市雁塔区(がんとうく)のマンションが並ぶ住宅地で、多数の住民が抗議している様子が映っている。

1300万の人口を抱える西安市では、2021年12月23日からロックダウンが実施されていたが、話題となっている地区では、その約1週間前から隔離措置が取られていた。住民たちは、無期限のロックダウンで苦痛を強いられ、生計にも影響が出ていると抗議の声をあげた。

抗議する住民たちは、対応するために到着した警察ともみ合いになり、複数の住民が警察によって地面に押さえつけられた模様だ。地元の公安当局によれば、この「群体性事件(mass incident)」による逮捕者は出ていない(中国政府は、民衆による不服従行動を群体性事件と呼んでいる)。

ウェイボで話題になった投稿を行ったのは、西安市南部にあるマンション群「フアチェン・インターナショナル(Huacheng International)」に住む住民たちだとされている。この投稿によれば、住民たちは12月18日から、最も厳しい公衆衛生措置の下に置かれてきた。

食料は政府の配給に頼るしかない

きっかけは、市内各地で新型コロナウイルスのデルタ株感染者が急増したことだった。住民はひとり残らず、1カ月以上にわたって定期的に検査を受けていたが、そのマンション群では陽性者がひとりも出ていなかった。

中国各地の都市では現在、デルタ株とオミクロン株のクラスターが発生して当局が対応に苦慮しており、地区ごとに「ロックダウン」「コントロール」「予防」という3つのカテゴリーに分けられている。「ロックダウン」の場合は、住民は家から一歩も出られない。

「コントロール」なら、各世帯から1人のみが、2日に1度だけ、買い物のために外出が認められる。「予防」の場合は、外出先が近所に限定される。

フアチェンの住民は、ほかの西安市民と同様、クリスマスや新年を含めて30日間以上にわたって自宅で過ごしてきた。一部の住民からは、政府から配給される食料だけでしのぐしかないという苦情が出ており、近所の不動産管理会社を通じて高価な食料品を買わざるを得ないとの声もあがっていた。誰もが自宅の外に出られなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノババックス、サノフィとコロナワクチンのライセンス

ビジネス

中国高級EVのジーカー、米上場初日は約35%急騰

ワールド

トランプ氏、ヘイリー氏を副大統領候補に検討との報道

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、3週連続減少=ベーカー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 7

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中