最新記事

新型コロナウイルス

あまりに過酷な中国ロックダウンの実情...妊婦は流産し、心臓発作でも治療は受けられず

Can China Lock Down Again?

2022年1月13日(木)11時58分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌副編集長)
西安ロックダウン

ロックダウン中の西安を走るバイク(2021年12月26日) cnsphoto via REUTERS

<大規模な都市封鎖が続く西安市からは、食糧難や医療崩壊を訴える市民の悲痛な叫びが聞こえてくる>

中国最大規模の新型コロナ感染が続く人口1300万人の陝西(せんせい)省西安でロックダウン(都市封鎖)が導入されたのは昨年12月23日。それから2週間以上がたった今も、大半の住民は買い出し以外の外出が禁じられている。同市では1月4日時点で発症者1800人と、その接触者など計4万2000人以上が集中隔離施設に隔離されている。

中国では数々の理由で、ロックダウンが多大な効果を上げてきた。都市部では住民の多くが壁で囲われたマンション群で暮らすため、人の出入りを管理しやすい。地方では村の外につながる道が一本しかない地域も多い。

2020年に中国各地で行われたロックダウンでは、感染者と接触者の集中隔離によって家庭内感染を減らす手法が成功のカギとなった。その一方で、今回の西安のロックダウンでも2年前と類似した深刻な課題が浮上しており、ネット上には住民の怒りの悲鳴が漏れ出している。

最大の課題は食料不足だ。各世帯1人に2日に1度の買い出しが認められているが、大半の店は閉まっており、営業中の店も在庫は乏しい。当局が主に高齢者向けに野菜の配給を始めたが、多くの家庭は中央政府が昨年11月に出した緊急時への備えの指示を受けてまとめ買いした備蓄で食いつないでいる。

地方役人をスケープゴートに

物資不足が特に深刻なのは市中心部の雁塔区とみられる。富裕層が多く人口が密集する地域で、既に同区の幹部2人が更迭されている。中国研究者で地方政府事情に詳しいクリスチャン・ゲーブルは、この更迭は地方役人をスケープゴートにする中央政府の手法そのものだと指摘しており、今後もさらなる更迭(起訴もあり得る)が見込まれる。

医療体制への負担も高まっている。ただし、原因はコロナよりも大規模な検査体制と官僚主義的な制約にある。

中国の医療体制は階層関係が明確で、高い技術を持つ医師や看護師が中心部の医療機関に勤務し、それ以外の人材が郊外の病院や地域センターに回る。西安でも優秀な人材は大規模検査の監督にかかりきりで、能力の低い人員が彼らの穴を埋めるしかない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米上院、手頃な価格住宅法案を可決 下院で審議へ

ワールド

米、ホルムズ海峡で国際有志連合と共に船舶護衛へ=財

ワールド

イラン国連大使「ホルムズ海峡封鎖しない」、安全維持

ビジネス

米大手銀行資本手当ては「小幅に」減少、FRB副議長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車整備は収入増、公認会計士・税理士は収入減
  • 3
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 4
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 5
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 6
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 7
    2万歩でも疲れない? ディズニー・ユニバで足が痛く…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 10
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中