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欧州、コロナ感染者が過去最多に EUはブースター接種拡大を呼び掛け

2021年11月25日(木)14時16分
オランダ・マーストリヒトの病院で治療を受ける新型コロナウイルスの重症患者

欧州の複数の国で、24日に報告された新型コロナウイルス新規感染者が過去最多を更新した。写真は、オランダ・マーストリヒトの病院で治療を受ける重症者。2020年11月10日に撮影。(2021年 ロイター/Piroschka van de Wouw)

欧州の複数の国で、24日に報告された新型コロナウイルス新規感染者が過去最多を更新した。欧州大陸が再びパンデミック(世界的大流行)の震源地となっている。

冬が到来しクリスマスを前に屋内で人が集まる機会が増える中、過去最多を記録したのはスロバキア、チェコ、オランダ、ハンガリー。

欧州連合(EU)の欧州疾病予防管理センター(ECDC)のアモン所長はこの日、40歳以上を中心に全ての成人に対して新型コロナワクチンの追加接種を検討すべきとの認識を示した。大幅な方針転換となる。

ECDCは報告書で「イスラエルと英国からのエビデンスとして、短期間での全ての年齢層への追加接種で感染と重症化に対する大きな予防効果が見られた」と指摘した上で、40歳以上を優先するよう呼び掛けた。

加盟国の多くはすでに追加接種を開始しているが、優先順位を決める基準や初回と追加接種の間隔にばらつきがある。

アモン氏は、追加接種で、免疫力低下による感染に対する予防効果が強化され、「感染が減り、入院や死亡の増加を防げる可能性がある」と指摘。ワクチン接種率が低い国に接種を加速させよう提言し、推奨される対策が導入されない場合、12月から1月にかけて欧州で入院や死亡がさらに急増する可能性が高いと警告した。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は24日、欧州が再びパンデミックの震源地になっているとの認識を示し、ワクチンで守られているという「誤った安心感」に警鐘を鳴らした。

スウェーデンは、全ての成人を対象にした追加接種を段階的に開始する。政府と保健当局者が発表した。

スロバキアではパンデミック発生以来初めて、1日あたりの新規感染者数が1万人を突破。同国政府は、感染対策として2週間のロックダウン(都市封鎖)を実施すると発表した。

飲食店や生活必需品以外を扱う商業施設は閉鎖され、通勤や通学など以外の不要不急の移動も制限される。

へゲル首相は「状況は深刻だ。(既存の)対策が守られていないことが原因だ」と語った。

隣国オーストリアではすでに今週ロックダウンが導入されている。来年2月1日からは全国民にワクチン接種を義務付ける予定だ。

チェコでは新規感染者が初めて2万5000人を突破。政府は、60歳以上の人や医療従事者など一部の職業を対象に、ワクチン接種義務化を検討している。

新規感染者が2万3700人を超えたオランダで政府は26日に新たな対策を発表する。

ハンガリーの新規感染者は1万2637人。景気低迷を招きかねないロックダウンに消極的なオルバン首相は今週、事前登録なしでワクチンを接種できるようにした。

フランスは25日に新たなコロナ対策を発表する。イタリアは、12月6日に導入される新たな規制で、映画館、レストラン、スポーツイベントへのワクチン未接種者のアクセスを禁止する。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

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