最新記事

熱波

東アジアでも日本の気温上昇が顕著──グリーンピース報告

2021年8月10日(火)18時45分
松丸さとみ

熱波や高温日も増加

1年のうち気温が非常に高くなった日数については、1960年代からの気温を分析した。調査対象となった57都市の中で、1960年代と比べて日数が倍以上に達するケースもあった。

日本の21都市では、気温が33度以上に達する日数が増えた場所は17都市に上り、特に1980年代以降の増加が目立った。

東京では、1年のうち気温が33度を超えた日数は、1961年以降10年間で3日弱というペースで増加。1960年代では年間平均で13日だったが、2011~2020年の平均ではこれが26.9日となり、倍以上になった。

さいたま市では、1980年代以降10年間で5.1日のペースで増加。札幌市は、1年のうちに気温が30度以上になった日数は、1960年代には年間5.4日だったが、2010~2020年では年間12.2日と倍以上増加した。

中国では、北京、上海、広州/深センといった大都市部で、35度以上の日が3日以上続く「熱波」の頻度や激しさが増しており、1990年代以降が特に顕著だ。北京での熱波の頻度は、2000年以降で年間平均1.45回となり、それ以前の40年間の年間平均(0.54回)と比べ3倍近くに増えた。

広州では、1961~2019年の間に熱波が合計98回発生。うち74%は1998年以降で、期間も長期化しているという。

韓国では、プサンで33度以上になった日数は、1961~2010年では年間10日以下だったが、2013年にはこれが13日となり、2018年には18日と急増した。一方ソウルでは、気温が33度を超えた日の年間平均日数は1960年代では6.7日だったが、2010年代では12.6日に達した。

今年1月に医学誌ランセットに発表された報告書「健康と気候変動のカウントダウン」では、世界の死者のうち、高い気温が死因となった65歳以上の人の割合は、2000年から2018年の間で約54%増加しており、特に日本、中国東部、インド北部、中央ヨーロッパで多かったとしている。

グリーンピース・イースト・アジアはこうした研究や今回の分析を受け、各国政府や企業が、気候変動に向けてより迅速かつ大胆な手を打つ必要があると訴えた。化石燃料業界への資金提供をやめ、風力や太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーに出来るだけ早く完全に切り替えるよう求めている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米国民、「大統領と王の違い」理解する必要=最高裁リ

ワールド

ロシアの26年予算案は「戦時予算」、社会保障費の確

ビジネス

米8月小売売上高0.6%増、3カ月連続増で予想上回

ワールド

トランプ氏、豪首相と来週会談の可能性 AUKUS巡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがまさかの「お仕置き」!
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中