最新記事

米戦略

「台湾に関わると米中大戦になる」米国防総省職員がバイデンに公開書簡

Pentagon Insider Warns Biden Against 'Major War' With China in Open Letter

2021年6月25日(金)22時41分
ジョン・フェン

ゲイルは公開書簡の中で、バイデンは「台湾の地位をめぐって、アメリカを中国との大規模な戦争に巻き込むおそれがある」と警告を発している。

バイデン政権は、「台湾連線(台湾コーカス)と呼ばれる超党派の議員団が主導する集団思考に感化されている」と、ゲイルは指摘する。台湾コーカスには、米上下院合わせて163人の議員がいる。

ゲイルはバイデンに対して「中国の内戦が偶然または計画的に再燃し、激しさを増すおそれがある場合には、アメリカは軍事介入を控えるべきだ」と忠告した。「東南アジアにおける我が国の歴史から教訓を学び、勝ち目のない戦いのためにアメリカ国民の血を流してはならない」

彼は6月11日付のワシントン・ポスト紙とのインタビューの中で、自分が捜査対象になっていることを明かしていた。同紙によれば、米政府は国防総省のインサイダーであるゲイルが「中国側に機密情報を漏らした」かどうかを調べているという。ゲイルは本誌に対して、捜査について詳しいことは言えないと述べた。

ゲイルによれば、環球時報からは意見記事の寄稿に対して報酬の提示があったが、彼はそれを断ったという。23日付の同紙には、ゲイルがバイデン宛の公開書簡を発表したことに関する記事が掲載された。

中国政府はゲイルを擁護

ゲイルは、これが「なんらかの影響を及ぼして戦争を阻止する最後のチャンス」かもしれない、と書く。「現在大きなトラブルに直面しているが、チャンスがあるうちに正しいことをしたいと考えている」

ワシントン・ポストのこのインタビュー記事が出た後、環球時報の記者が中国外務省に、米国防総省による捜査について尋ねた。

中国外務省の趙立堅報道官はゲイルを支持しているようで、6月15日に「アメリカは言論の自由と正義の擁護者を自称していたのではなかったのか。多くの人がそれを疑問に思っているだろう」という回答を寄せ、その中でさらにこう述べた。「フランツ・ゲイルは米政府と異なる立場を表明する記事を2本書いたというだけの理由で、捜査の対象になっている。なぜアメリカは、彼が個人的な意見だと明記した上で書いた記事の発行を許せないのか」

台湾政策に関する複数の専門家は本誌に対して、ゲイルの意見記事は中国政府の立場を後押しするものだと指摘した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税の影響で

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中