最新記事

原発

中国の原発で放射線漏れの疑い チェルノブイリを彷彿とさせる透明性の欠如

China's Nuclear Leak Denial Evokes Chernobyl as Plant Insists It's Safe

2021年6月15日(火)15時01分
ジャック・ダットン


CGNは13日、危険な放射線漏れの指摘について「真実ではない」と述べ、2基の原子炉は安全要件を満たしており、正常に稼働していると主張した。

CGNは13日にウェブサイトで声明を発表。台山原発では加圧水型原子炉を2基運転しており、第2原子炉は大規模な点検を経て6月10日から運転を再開し正常に機能していると説明。「2基の原子炉の運転データはいずれも、原子力安全規則と技術面の要件を満たしている」と述べた。

またCGNは、施設の内部でも周辺でも、異常な放射線量は検知されていないと主張。「定期監視データは、台山発電所とその周辺環境、両方の環境指標が正常範囲にあることを示している」と声明で述べた。

一連の報道は、チェルノブイリ事故を彷彿とさせる不穏なものだ。1986年にチェルノブイリ原子力発電所で起きた事故の際、ソ連の当局は事故現場の放射線量に問題はないと一蹴。周辺住民に避難通知が出されたのは、事故発生から1日半が経過した後だった。国連は、この事故が原因で死亡した人の数を50人以下と推定しているが、その後、放射線被ばくが原因で何千人もの人々が命を落とした。

G7との緊張が高まっていた

台山原発に関する疑惑が明らかになったのと同時期に、イギリスのコーンウォールでは主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開催され、緊張が高まっていた。

中国はG7の一員ではなく、主要20カ国・地域(G20)の一員だ。在英中国大使館は13日、「世界的な決定事項」を「少数の国が決める時代はとっくに終わっている」と主張した。

G7は13日に採択した共同宣言の中で、中国を名指しで批判。中国は人権を尊重し、中国国内における新型コロナウイルスの起源について、「適切なタイミングで、透明性のある、専門家主導で科学に基づく」調査を実施する必要があると述べた。

声明はさらに「我々は農業、太陽光および衣類部門などのグローバルなサプライチェーンにおいて、国家により行われる、脆弱なグローバルおよび少数派の強制労働を含む、あらゆる形態の強制労働の利用について懸念する」と述べた。

声明は香港の問題にも言及。「我々は中国に対して、特に新疆との関係における人権および基本的自由の尊重、また英中共同声明および香港基本法に明記された香港における人権、自由および高度の自治の尊重を求めることなどにより、我々の価値を促進していく」とした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    あまりの激しさで上半身があらわになる女性も...スー…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 5

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 9

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中