最新記事

中国

G7「一帯一路」対抗策は中国に痛手か(その2)対アフリカ中国債務はわずか20%

2021年6月19日(土)14時16分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

同等になったところで、コラム「その1」で書いたような中国とアフリカの長年にわたる結びつきがあるので、「黒人」を蔑視してきた白人、特にアメリカが、「中国を追い出すほどに」受け入れられるのか否かは別問題だ。アフリカ諸国が漁夫の利を得て繫栄すれば、実は中国は得をする。中国の最終目的は、アメリカ市場から締め出された時の新たな市場を創ることにあるのだから、長期的には中国に利する結果をもたらすだろう。

なお昨年3月23日のコラム<背後に千億円の対中コロナ支援:中露首脳電話会談>に書いたように、IMFの専務理事にブルガリアのクリスタリナ・ゲオルギエバを就けるために奔走したのは習近平夫妻だ。果たしてIMFが「反中」で動けるかも疑問の一つである。

資金は誰が出すのか?

資金は誰が出すのかに関してコーンウォールでは誰もが口をつぐんだ。質問されたドイツのメルケル首相は「まだ議論する時ではない」と逃げた。

しかしコミュニケが発布された2日後の6月15日(日本時間16日)、ブルームバーグが「日本がアメリカ国債を364億ドル購入した」とすっぱ抜いた。

アメリカは日本に「3分の1」ほどは出させるつもりだろう。記事によれば購入したのは日米首脳会談が行われる前後のようだ。周到に計算されている。

投入されるのは、私たち日本人の血税である。

こんなことになったのも、日本が中国経済を巨大化させたからであることを忘れてはならない。

鄧小平を神格化し、天安門事件後も「中国を孤立させてはならない」として日本が対中経済封鎖を破って、今日の中国の繁栄をもたらし、今日の厳しい国際情勢を招いているのである。そのことを主張したのが拙著『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させて鄧小平への復讐』だ。

この現実を明確に自覚せずに中国分析をすることはできないし、日本の歩むべき道を客観的に把握することもできない。

7月1日は中国共産党建党100周年記念に当たる。

これを機に中国共産党とは何か、中国とは何か、そして日本は中国の強大化に向けて何をやってきたのかを認識してほしいと切望する。

ちなみに菅首相は17日の記者会見で「私は対中包囲網なんか作りませんから」と述べたと産経新聞が報じている。ポロリと本音が出たか...。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

この筆者の記事一覧はこちら

51-Acj5FPaL.jpg[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史  習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社、3月22日出版)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

ニューズウィーク日本版 トランプの帝国
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月10号(2月3日発売)は「トランプの帝国」特集。南北アメリカの完全支配を狙う新戦略は中国の覇権を許し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:インド「高級水」市場が急成長、富裕層にブ

ワールド

トランプ米大統領、自身のSNSに投稿された人種差別

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、リスク資産反発受け 円は衆

ワールド

トランプ氏、インドへの25%追加関税撤廃 ロ産石油
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 2
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 7
    鉱物資源の安定供給を守るために必要なことは「中国…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 10
    日経平均5万4000円台でも東京ディズニー株は低迷...…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 8
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 9
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 10
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中