最新記事

G7、人権・香港・台湾などで中国に懸念表明 コロナ起源調査も求める

2021年6月14日(月)10時11分
英カービスベイでG7サミットに参加した各国首脳

G7サミットは共同声明を発表し、中国に対して新彊での人権尊重、香港の高度の自治を求めたほか、東・南シナ海での一方的措置に反対する姿勢を示した。写真撮影をする各国首脳、英カービスベイで11日撮影(2021年 ロイター/Patrick Semansky/Pool via REUTERS)

主要7カ国首脳会議(G7サミット)は共同声明を発表し、中国に対して新彊ウイグル自治区での人権尊重、香港の高度の自治を求めたほか、東・南シナ海での一方的措置に反対する姿勢を示した。新型コロナウイルスの発生源についても徹底的な調査を求めた。

G7は、中国に対しいかに一致した姿勢を示すかを協議。共同声明では、中国が内政問題などと主張する微妙な問題にも踏み込んだ。

声明はG7の価値を促進するとし、「人権や基本的自由の尊重を中国に求める」と指摘。中国に対し、新彊ウイグル自治区における人権と基本的な自由の尊重を求めた。

香港については、英中共同声明に盛り込まれた権利、自由、高度の自治を尊重するよう求めた。

東・南シナ海情勢は引き続き深刻な懸念とし、中国による現状変更と緊張を高める一方的な措置には強く反対するとした。

台湾海峡の平和と安定についても強調し、問題の平和的解決を促した。

中国武漢市で最初に猛威を振るった新型コロナウイルスの起源については、世界保健機関(WHO)による時宜にかなった透明かつ専門家による科学に基づいた調査」を求めた。

また、農業、太陽光、衣料製品など世界的なサプライチェーンでの強制労働問題を指摘。国が後ろ盾となった少数民族などへの強制労働に懸念を表明した。

バイデン米大統領は記者団に対し、民主主義は「独裁的な政府」との世界的な競争の中にあり、G7として代替の選択肢を実現する必要があると強調。

「われわれが競っているのは中国自体ではなく、世界中の独裁的な政府だ。急速に変化する21世紀において、民主主義が独裁体制と競えるかどうかだ」と述べた。

その上で「私自身が(中国の)習近平国家主席に伝えたように、われわれは対立を望んでいるわけではない。協力できる分野では協力する。同意できない場合は率直に伝え、相違のある行為には対処する」とした。

新型コロナの起源を巡っては「われわれは研究所にアクセスできていない」とし、「動物や環境と接したコウモリが原因になったのか、それとも研究所での実験で問題が生じたのか」どうか、まだ明確になっていないと述べた。

中国はG7声明に先立ち、「一部少数の」グループが世界のすう勢を決定するのは「過去の遺物」とのコメントを出した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

維新、連立視野に自民と政策協議へ まとまれば高市氏

ワールド

ゼレンスキー氏、オデーサの新市長任命 前市長は国籍

ワールド

ミャンマー総選挙、全国一律実施は困難=軍政トップ

ビジネス

ispace、公募新株式の発行価格468円
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 6
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 7
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中