最新記事

中国共産党

中国共産党100周年、北朝鮮を「お手本」にした習近平の未来は危うい

THE PARTY IS NOT FOREVER

2021年6月23日(水)18時35分
ミンシン・ペイ(本誌コラムニスト、クレアモント・マッケンナ大学教授)
中国共産党第1回全国代表大会記念館

上海に開館した中国共産党第1回全国代表大会記念館 ANDREA VERDELLI/GETTY IMAGES

<7月に結党100周年を迎える中国共産党だが、現在の「北朝鮮モデル」路線は、将来的な選択肢を狭める一方だ>

人は100歳に近づくと、死について考える。しかし政党は100歳に近づくと、長寿にこだわる。7月1日に結党100周年を迎える中国共産党が、いい例だ。

独裁体制を敷く政党が寿命について楽観的なのは、奇妙にも思える。近代の独裁政党が100年も生きたことはないからだ。

共産主義政党や独裁政党が比較的短命な理由の1つは、現代の一党独裁体制が生まれたのが20世紀に入ってからだという点だ。最初の一党独裁体制であるソビエト連邦の誕生は1922年だった。しかし、もっと根本的な理由もある。独裁政党の下の政治環境が民主的政党のものに比べて、はるかに不快で野蛮だということだ。

独裁政党が死に至る確実な方法の1つは、戦争を起こして負けること。ナチスや、ムソリーニが率いたイタリアのファシスト党が、この運命をたどった。

だが多くの独裁政党は、はるかに凡庸な形で死を迎えてきた。限定的な改革で国民をなだめようとした共産主義体制は、いずれも崩壊した。旧ソ連では80年代の改革と情報公開が大変動を招き、共産主義者もソ連自体も歴史のくずかごに葬り去られた。

中国共産党に、そんな歴史は関係ない。100周年の祝賀で習近平(シー・チンピン)国家主席ら指導部は、自信と楽観主義を打ち出そうとしている。だが政治的に強気な姿勢を取るだけでは、生き残り戦略にはならない。彼らがリスク故いったん改革を排除すれば、残された選択肢は極めて限られたものになる。

魅力を増した「北朝鮮モデル」

習以前の中国は、シンガポールの政治モデルを目指したこともある。1959年からシンガポールを支配する人民行動党(PAP)は、ほぼ完全な権力独占と卓越した統治、優れた経済業績と国民の支持の全てを手にしているように見えるからだ。

だが中国共産党にとって、シンガポールの複数政党制や比較的クリーンな選挙、法の秩序は受け入れ難かった。PAPの成功に不可欠なこれらの制度を中国に導入すれば、いずれ共産党の政治的独占力は危機的なレベルまで弱体化すると指導部は考えた。

習の就任後、中国にとって「北朝鮮モデル」のほうが魅力を増した理由は、そこにあるのかもしれない。全体主義的な政治的抑圧、最高指導者への崇拝、自主独立を目指す主体(チュチュ)思想という北朝鮮の特徴に、中国は習の就任後8年間で次第に近づいている。

政治的には、市民だけでなく共産党のエリート層に対しても恐怖による統治が復活した。習は腐敗一掃キャンペーンの名目で粛清制度を復活させ、検閲を強化し、NGO(非政府組織)を含む市民社会の活動の場をほぼ排除した。自由に活動する起業家たちは、規制強化や刑事訴追、富の押収などによって抑圧された。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米雇用、11月予想上回る+6.4万人・失業率4.6

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 10
    「日本中が人手不足」のウソ...産業界が人口減少を乗…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中