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コロナ張本人、「中国点火vsインド点火」の罪と罰

中国国旗

中国の国旗 Rawpixel-REUTERS

5月1日、中共中央政法委員会ウェイボーに中国の宇宙ロケット発射とインドのコロナ犠牲者葬儀の点火の写真が並べて掲載された。あまりの非人道性に中国国内からも非難が殺到。そこには中国の驕りともろさがある。

「中国の宇宙ロケット発射点火礼賛」vs.「インドのコロナ犠牲者火葬点火嘲笑」

中国ではメーデーの日として祝福される5月1日、中国共産党中央委員会(中共中央)政法委員会が管轄する新聞ウェブサイト「長安網」のウェイボー(微博、weibo、中国版ツイッター)に「中国点火vs.印度点火」というタイトルで以下のような写真が貼り付けられて発信された。

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5月1日13:24、長安網ウェイボーに掲載された「中国点火vs.インド点火」

中国は2022年までに中国が運営する宇宙ステーション「天宮」を稼働すべく早くから着々と準備を重ねてきたが(詳細は拙著『「中国製造2025」の衝撃』)、今年4月29日、大型ロケット「長征5号B」に搭載したコアモジュール「天和」の打ち上げに成功した。中国はメーデーを祝うムードとともに、習近平政権のスローガンの一つである「中華民族の偉大なる復興」を叫んでお祭りムードだった。

同じころインドでは、1日の新規コロナ感染者が40万人を超えるという悲惨な状況にあり、その数値をまともに見ることも聞くこともできないほどに心が痛んだ。まして死者の数が多過ぎて葬儀場が足りず、公園のあちこちで荼毘(だび)に付している光景など、この世のものとも思えず、中国がコロナの初期対応を誤っただけでなく情報を隠蔽したために人類が未曽有の災禍に見舞われていることへの怒りが込み上げてきた。

だというのに、そのコロナ感染を広めた張本人である中国の官側のウェイボーが、こともあろうにインドの燃え盛る火葬の火の写真と宇宙ロケットの発射の火の写真を並べて掲載するとは何ごとか!

おまけに「インドの1日の新規感染者数は40万」というフレーズにハッシュタグを付けて発信する。この憤りを表現する言葉さえ見つからない。

さすがの中国大陸のネットユーザーも、「これはいくら何でも非人道的ではないか」、「官側がやることか」、「大国の品格を傷つける」、「自分の国を礼賛するのに、他国の死者を嘲笑するような写真を並べるのは行き過ぎだ」・・・など、凄まじいバッシングが噴出し、中国のネットは炎上した。

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