最新記事

日本社会

ネットによって誰でも手軽に「寄付」ができる時代に

2021年4月14日(水)13時30分
舞田敏彦(教育社会学者)
スマホで寄付(イメージ画像)

テクノロジーの進化で寄付は以前より大幅に簡単にできるようになった CarmenMurillo/iStock. 

<ふるさと納税やクラウドファンディングの広がりなどを背景に、30代、40代家庭の「寄付金」への支出は最近になって大幅に増えている>

「困った時はお互い様、助け合いましょう」。こうした「共助」を実現する策として、無償で労働力を提供するボランティアの他、お金を寄付するということもある。貨幣経済が中心の現在では、後者の比重が増している。

子どもが難病を患い、海外で高額な手術を受けなければならないーーそこで親が募金を手掛け、数千万円もの寄付が寄せられたというのは、実際にあった話だ。日本には1億2000万人ほどの人口がいるが、その100人に1人(120万人)が50円出してくれたら6000万円のお金が集まる。善意のチカラは凄い。

寄付金の額というのは、助け合い(共助)のスピリットを可視化するのにいい。総務省の『家計調査』にて、寄付金の年間支出額を知ることができる。最新の2020年データを見ると、1世帯あたりの寄付金の年間支出額は5899円となっている(単身世帯は除く)。普通の家庭の場合、1000円の寄付を年に5〜6回やっている計算になる。

この額の推移をグラフにすると、<図1>のようになる。

data210414-chart01.png

2010年までは3000円前後で推移してきたが、2011年に6579円とボーンと跳ね上がる。理由は明らかで、同年3月に起きた東日本大震災の被災者への寄付だろう。翌年には元の水準に戻るが、2015年から上昇に転じ、2019年に5000円を超えて翌年には5899円となっている。コロナ禍で苦しむ人への寄付も増えているのだろう。

返礼品目当てのふるさと納税や、ネット募金ないしはクラウドファンディングが増えていることも背景にあるのではないか。今では、個人でも寄付をしやすくなっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「ウクライナはモスクワ攻撃すべきでない」

ワールド

米、インドネシアに19%関税 米国製品は無関税=ト

ビジネス

米6月CPI、前年比+2.7%に加速 FRBは9月

ビジネス

アップル、レアアース磁石購入でMPマテリアルズと契
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 5
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 6
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    歴史的転換?ドイツはもうイスラエルのジェノサイド…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中