最新記事

骨董

アメリカの不用品セールで買った茶碗、5400万円超の中国の骨董品だった

2021年3月8日(月)17時30分
松丸さとみ

35ドルで買った茶碗が、50万ドル(約5420万円)の価値があることがあきらかに......  sothebys.com

<ガレージ・セールで、35ドルで買った茶碗が、実は中国で15世紀に作られた骨董品で、最高50万ドル(約5420万円)の価値があることが明らかになり話題になっている......>

35ドルで買った茶碗、価値は......

米国の個人宅の庭先で開かれていた不用品を売るガレージ・セールで、35ドル(約3800円)で買った中国製の茶碗が、実は15世紀に作られた骨董品で、最高50万ドル(約5420万円)の価値があることが明らかになった。17日にニューヨークのサザビーズでオークションにかけられる予定だ。

直径約16センチのこの茶碗は、米国コネチカット州の庭先で、35ドルで売られていたものだった。ある男性は言い値を払ってこれを購入。サザビーズに写真と詳細をメールで送り、鑑定を依頼した。

AP通信によると、サザビーズで中国の陶磁器や芸術品を担当している専門家のマンジェラ・マカティア氏とハン・イン氏のもとには、こうした鑑定依頼のメールが毎週のように何通も届くという。しかしこの茶碗はひと目で、「非常に特別なものだと分かった」とマカティア氏は話す。絵のスタイル、茶碗の形、使われている青い色などすべてが、15世紀初頭に中国で作られていた磁器に特徴的なものだったのだ。

実際に現物を見て鑑定したところ、明朝初期に作られたものだということが分かった。AP通信によると、こうした判定は科学的にテストを行うわけではない。訓練と経験を積んだ専門家の鑑識眼によるものだ。

明朝の茶碗がなぜコネチカット州の家に?

マカティア氏とイン氏は、茶碗が1400年代初期、明の第3代皇帝である永楽帝の時代に、宮廷で使用されるために作られたものだと結論付けた。30万〜50万ドル(約3250万〜5420万円)の価値があると考えられており、つまり最高の価格が付けば、元値だった35ドルの14300倍となる。

CNNによると、永楽帝は景徳鎮(中国南東部)に宮廷直属の専用窯を持ち、磁器を実利的な器から芸術品へと引き上げた人物だ。ただ、この時代の資料が乏しいこともあり、なぜ永楽帝時代の茶碗がコネチカット州の個人宅に行き着いたのかは、「もどかしいようなミステリー」だとマカティア氏はCNNに話す。

同氏はまたAP通信に対し、庭先でこの茶碗を売っていた家族が、価値を知らずに代々引き継いできたものである可能性もあると話している。

サザビーズによると、こうした茶碗は今回オークションにかけられるものを含めると、世界に7個しか残っていない。そのほとんどは博物館に収められており、米国にあるのはこの1個のみとなる。7個のうち博物館に所蔵されているものは、台湾の国立故宮博物院の2個、英ロンドンの大英博物館とヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の各1個、そしてテヘランのイラン国立博物館の1個だ。

「存在することさえ知らなかったものがまるでどこからともなく現れると、専門家として本当にワクワクします」とマカティア氏はAP通信に話している。

サザビーズは3月11〜24日の日程でアジア・ウィークを開催予定で、茶碗は17日に入札が開始される。

Chinese bowl bought for $35 at a tag sale could get half a million in auction

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

仏ルノー、25年は純損失109億ユーロ 日産株巡る

ビジネス

エールフランスKLM、25年営業利益は過去最高の2

ワールド

仏会計検査院、歳出削減促す 増税頼み限界

ビジネス

日立労組、26年春闘のベア要求1万8000円 一時
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポーランドが「核武装」に意欲、NATO諸国も米国の核の傘を信用できず
  • 2
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 3
    中道「大敗北」、最大の原因は「高市ブーム」ではなかった...繰り返される、米民主党と同じ過ち
  • 4
    ウクライナ戦争が180度変えた「軍事戦略」の在り方..…
  • 5
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    生き返ったワグネルの「影」、NATO内部に浸透か
  • 8
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 4
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 7
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 8
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中