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東日本大震災

震災から10年「あの時、なぜ救えなかったのか」 遺族が抱き続ける悔悟と葛藤

2021年3月11日(木)10時11分

熊谷さんが夫の身を案じて書き続けてきた手紙は2冊の本になった。きっかけは、復興支援のボランティアとして同市を定期的に訪れていた釣崎等さん(71)との出会いだった。釣崎さんは熊谷さんの悲しみを癒やそうと、カレンダーの裏に書かれた手紙をパソコンに打ち込み、手作りの本にして出版した。

「どの被災地の人たちも、元の昔に戻りたいという気持ちはすごく強い」と釣崎さんは言う。「元には戻れないから新しい街を作っていかないといけないけれど、なかなかそういう気持ちになれないところがあるんです」

自分の目の前で家族が亡くなったという決定的な証拠がない限り、熊谷さんのように、現実を受け入れられず、いつか戻って来ると期待しまう人がいる、と釣崎さんは話す。

この本を読んだ熊谷夫妻の息子、慎さん(51)は「(母の手紙で)改めて分かったこともある」と、2人の絆に気づかされたという。

津波から6年後の2017年、熊谷さんは磨さんの死亡届を提出した。その1年後、幸子さんは77歳で亡くなった。最後になった手紙のひとつには、こうつづられている。

「磨さん、おはよう。今年も残りわずか。見つからずに終わってしまいそうですネ...彷徨い彷徨いして大野湾に戻ってきたら奇跡だよネ。奇跡ってあるみたいだけどこの大震災にはないみたいですネ」

(斎藤真理 編集:北松克朗)

[ロイター]


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