最新記事

宇宙

12年かけて撮影された天の川の圧倒的パノラマ画像が公開される

2021年3月29日(月)17時50分
松岡由希子

12年間かけて撮影された234枚の写真をつなぎ合わせた圧倒的な天の川(一部) PHOTO:(C) J-P METSAVAINIO

<フィンランドの天体写真家J-Pメッツァヴァイニオ氏が、12年間かけて撮影した234枚の写真をつなぎ合わせた圧倒的な天の川の写真が公開された...... >

2009年から2021年までの12年にわたり、北欧フィンランドのオウルで撮影された天の川のパノラマ画像が、2021年3月16日に公開された。

この画像は、計1250時間もの露光時間をかけて撮影された。おうし座からはくちょう座まで、約2000万個の星がきらめき、水素は緑、硫黄は赤、酸素は青というように、電離した元素によって放出された光がカラフルに映し出されている。

画像の左下には米国カリフォルニア州の形に似ていることで知られる「カリフォルニア星雲(NGC 1499)」が確認でき、右寄りの中心部には「チューリップ星雲(Sh2-101)」やブラックホール「はくちょう座X-1」もみられる。

234枚の天体写真をモザイク状につなぎ合わせた

この画像を撮影したのは、フィンランドの天体写真家J-Pメッツァヴァイニオ氏だ。メッツァヴァイニオ氏は、画像編集ソフト「フォトショップ」を使って234枚の天体写真をモザイク状につなぎ合わせ、空白部分を新たに撮影して補いながら、トーンカーブやカラーバランスなど、最小限の調整を加え、1.7ギガピクセルの高解像度画像として完成させた。

matuoka0329b.jpg

(C) J-P METSAVAINIO

matuoka0329c.jpg

(C) J-P METSAVAINIO

メッツァヴァイニオ氏は、この画像の完成までに12年の歳月を費やした理由について「天体写真が大きいのみならず、とても深いこと」をあげる。それぞれの天体写真には、非常に薄暗い物質やガス雲も映っていた。

Between_Cygnus_and_Cepheus.jpg

はくちょう座とケフェウス座の間(C) J-P METSAVAINIO

また、ビジュアルアーティストとして「それぞれ個別の構図で撮影した画像をまとめ、一つのアート作品として発表したい」との思いも、完成までに時間を要した理由のひとつだ。メッツァヴァイニオ氏は、複雑な天体写真を細かくつなぎ合わせるという途方もない作業に根気強く取り組んだ。

一部の天体写真では、露光時間を長くして撮影された。たとえば、はくちょう座にあるシェル型超新星残骸(SNR)「W63」が青白い輪のように輝く様子は、約100時間かけて撮影されたものだ。超新星残骸「G65.5+5.7」の撮影にも60時間以上を費やしている。

領域ごとの画像も公開

メッツァヴァイニオ氏は、フォトグラフィー専門オンラインメディア「ペタピクセル」で「このような高解像度と深度で、天の川を赤・緑・青の三色で映し出した画像は初めてだろう」と述べている。メッツァヴァイニオ氏の公式ブログでは、このパノラマ画像のほか、領域ごとの画像なども公開されている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:海路で遭難する移民、ハイテク技術が命を救

ワールド

アングル:シンガポールのAI活用、焦点は日常生活の

ビジネス

アングル:中国「就職戦線」やや正常化、賃金は伸びず

ビジネス

フィッチ、米格付けを「AA+」に据え置き 24年は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した小澤征爾
特集:世界が愛した小澤征爾
2024年3月 5日号(2/27発売)

圧倒的情熱でクラシック界に新風を吹き込んだ「世界のオザワ」がわれわれに遺したもの

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    アウディーイウカ近郊の「地雷原」に突っ込んだロシア装甲車2台...同時に地雷を踏んだ瞬間をウクライナが公開

  • 2

    「衝撃的に劣悪」な性能...北朝鮮ミサイル、ウクライナでの「大失態」でロシアが調達キャンセルの情報

  • 3

    ロシアの新兵器?UFO? ウクライナの戦場の上空に浮かぶ「謎の円盤」を、偵察ドローンが発見...映像を公開

  • 4

    NATO加盟を断念すれば領土はウクライナに返す──ロシ…

  • 5

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 6

    ロシア軍が戦場に乗り捨てた軍用車の「異形」...後ろ…

  • 7

    メーガン妃がファッションを真似るほど憧れていた、…

  • 8

    「こうした映像は史上初」 火炎放射器を搭載したウク…

  • 9

    プーチンの顔面に「異変」が...「頬どうした?」と話…

  • 10

    メーガン妃に「手を触られた」瞬間の、キャサリン妃…

  • 1

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の生物」が...発見した住民が、正体を突き止めるまで

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ロシア兵と若者の衝突...帰還兵が路上で一方的に暴行される

  • 4

    メーガン妃に「手を触られた」瞬間の、キャサリン妃…

  • 5

    「ロイヤルな風格と優雅な姿」...シャーロット王女の…

  • 6

    「衝撃的に劣悪」な性能...北朝鮮ミサイル、ウクライ…

  • 7

    もう取り返しがつかない?ロシアがウクライナ侵攻で…

  • 8

    在日外国人と日本社会の共生努力を後退させる右派の…

  • 9

    欧米はなぜもてはやすのか? 「ロシア反体制派のヒー…

  • 10

    中国株の暴落が止まらない 外国人投資家はほぼ撤退

  • 1

    一流科学誌も大注目! 人体から未知の存在「オベリスク」が発見される

  • 2

    【能登半島地震】正義ぶった自粛警察が災害救助の足を引っ張る

  • 3

    プーチンの顔面に「異変」が...「頬どうした?」と話題に 外交の場での「奇妙な様子」にも注目集まる

  • 4

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 5

    メーガン妃に「手を触られた」瞬間の、キャサリン妃…

  • 6

    シャーロット王女の「ただならぬ風格」...5つの「フ…

  • 7

    「まだやってるの?」...問題は「ミス日本」が誰かで…

  • 8

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 9

    ウクライナ攻勢を強めるロシアのドローン攻撃を、迎…

  • 10

    「こうした映像は史上初」 火炎放射器を搭載したウク…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中