ミャンマー軍事クーデターに世界の非難相次ぐ 国民はネットに怒りの声

ミャンマー国軍が軍事クーデターで政権を掌握したことを受け、欧米を中心に非難の声明が相次いだ。国軍に拘束されたアウン・サン・スー・チー国家顧問の支持者はソーシャルメディアで怒りの声を上げた。首都ネピドーで1日撮影、提供写真(2021年 ロイター)
ミャンマー国軍が軍事クーデターで政権を掌握したことを受け、欧米を中心に非難の声明が相次いだ。国軍に拘束されたアウン・サン・スー・チー国家顧問の支持者はソーシャルメディアで怒りの声を上げた。
国軍は1日未明に、与党・国民民主連盟(NLD)を率いるスー・チー氏やウィン・ミン大統領などを拘束。「選挙の不正」を根拠に、ミン・アウン・フライン国軍司令官が国家権限を掌握したとし、1年間の非常事態宣言を全土に発令した。
クーデターによってこれまでの民主化の取り組みは頓挫し、ミャンマーから逃れたイスラム教徒少数民族ロヒンギャの帰還についても不透明感が一段と強まった。
スー・チー氏や同氏に近い何十人もの政治家の拘束に対して、強力な対応を求める声が上がるなか、外交筋によると、国連安全保障理事会は2日に会合を開く。ミャンマーと安保理常任理事国の中国との緊密な関係が安保理の決定に影響を及ぼすとみられる。
バイデン米大統領は1日、声明を出し、米国がこれまでに「ミャンマーの民主化に向けた進展を踏まえ制裁を解除してきた」とし、「こうした進展の反転を受け、制裁を巡る規則や権限を直ちに見直す必要が生じ、適切な行動が伴う」と言明した。
米制裁の効果は限定的か
バイデン大統領は「地域・世界のパートナーと協力して民主主義と法の支配の復活を支援していく。民主化の流れを反転させた人間に責任を取らせる」とも表明。ミャンマー軍に対し、通信制限を解除し、民間人への暴力行為を控えるよう求めた。
米政府当局者はロイターに対し、バイデン政権が「政府全体の」対応策を策定するため、政権内で高レベル協議を開始したことを明らかにした。議会とも緊密に連携する計画という。
ただ、アナリストは米国の影響力は限られていると指摘する。
戦略国際問題研究所の研究員は、クーデターに関与した人物に新たな制裁が科されるのはほぼ確実だが、渡米や米国での事業を計画している軍関係者は少なく、直接的な効果はあまりないだろうと予想。
米軍とミャンマー軍の交流はほとんどなく、軍事協力を見直すといった制裁措置を講じることもできないという。