最新記事

アメリカ政治

米下院民主党、11日にトランプ氏の弾劾手続き開始

2021年1月9日(土)09時25分

米下院民主党が11日にトランプ大統領の弾劾手続きを開始する見込みと、関係筋2人が8日明らかにした。写真は昨年9月、ペンシルベニア州ラトローブで撮影。(2021年 ロイター/Leah Millis)

トランプ米大統領の支持者が議会議事堂に乱入したことを受け、民主・共和両党からトランプ氏の罷免や弾劾を求める声が高まる中、下院民主党は11日に弾劾手続きを開始する見込みだ。関係筋2人が8日明らかにした。

トランプ氏はすでに2019年、下院で弾劾訴追を受けているが、上院の弾劾裁判では無罪となっている。これまで大統領が弾劾訴追を2回受けた例はない。

関係筋によると、弾劾訴追決議案は、デービッド・シシリン、テッド・リュウ、ジェイミー・ラスキンの各議員が策定。来週中に採決が行われる可能性があるという。決議案は、トランプ氏が2020年の大統領選挙でバイデン次期大統領に敗北したことを覆すため「米政府に対する暴力を扇動」したほか、トランプ氏が先週、ジョージア州のラッフェンスパーガー州務長官との電話会談で、同州の選挙結果を覆すのに十分な票を「見つける」よう圧力を掛けたことなどを告発する内容となっている。

民主党のペロシ下院議長は8日、トランプ氏が「錯乱」しているとし、議会は国民を保護するためにあらゆる手を尽くす必要があると表明。トランプ氏が任期終了までに核攻撃命令など常軌を逸する行動に出ることを防ぐ方策について、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長と対話したと明らかにした。

ペロシ氏は7日、シューマー上院院内総務と共同で、トランプ氏の即時罷免に向けて合衆国憲法修正25条を発動するようペンス副大統領や政権閣僚らに要求。発動がなければ、議会は弾劾も辞さないとした。報道によると、ペンス氏は憲法修正25条の発動に難色を示している。

バイデン氏は8日、トランプ氏を大統領として「不適格」と見なしているが、今後の対応については議会に任せると述べた。

ホワイトハウスのディア報道官は、トランプ氏の任期があと12日で切れるのに、弾劾手続きを今起こしても国をさらに分断するだけだと指摘した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



20240423issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中