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英国、アストラゼネカとオックスフォード大のコロナワクチンを世界初承認 来週から接種開始

2020年12月31日(木)07時24分

英政府は30日、アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発した新型コロナワクチンを世界で初めて承認した。10月撮影。(2020年 ロイター/Dado Ruvic)

英政府は30日、英アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発した新型コロナワクチンを世界で初めて承認した。

英保健省は「政府は本日、医薬品・医療製品規制庁(MHRA)からのオックスフォード大・アストラゼネカのワクチンの使用許可勧告を受け入れた」と表明。

ジョンソン首相は、国内で開発されたワクチンの承認を「英国の科学の勝利」と称賛した。

英国はすでに米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンを承認し接種を開始している。

今回承認されたのは2回接種の方式。アストラゼネカのワクチンは後期治験で数週間間隔で2回接種すると62%の予防効果があるとの結果が出ている。ファイザーのワクチンと比較すると有効性では劣るものの、通常の冷蔵庫で保管でき、ファイザー製ほど超低温で管理する必要がないという利点がある。

医薬品委員会のコロナワクチン作業部会議長を務め、MHRAの決定にも関与したムニール・ピルモハメド氏は「最初の投与から2回目の投与まで3カ月の間隔を置いた場合、予防効果は最大80%まで高まることが分かったため、ワクチンの承認を勧告した」と記者団に述べた。

英国では感染拡大が深刻化、感染力の強い変異種も見つかっている。アストラゼネカのソリオ最高経営責任者(CEO)はBBCラジオに対し、ワクチンは変異種にも有効との認識を示した。

英政府はアストラゼネカのワクチンをすでに1億回分発注している。ハンコック保健相は、来週には数十万回分の接種が可能になるとした上で、「今回の承認を受け、春までには脆弱な人々に十分接種できると確信している」とスカイニュースに語った。

英国の公衆衛生問題専門家、ジェレミー・ファラー氏は、アストラゼネカ製ワクチンの承認を歓迎するとしながらも、引き続き検証が必要とし、アストラゼネカとオックスフォード大学に対し、2回目の接種の時期を巡るランダム治験を継続するよう呼び掛けた。

フランシス・クリック研究所のウイルス学者、ジョナサン・ストエ氏は、実際の有効性を巡る疑問が残っているほか、高齢者に効き目があるのか、接種量などについてどのようなデータがあるのかなど、不明な点が多いと指摘。「特に長期面で、重要な疑問が解消されていない」と述べた。

ただ、通常の冷蔵庫で保管できるアストラゼネカ製ワクチンは、ごく基本的な医療保健インフラしかない途上国などでの利用に有利とみられており、パンデミック(世界的な大流行)への対応が大きく前進する可能性がある。

ワクチン製造世界最大手のインドのセラム・インスティテュート・オブ・インディア(SII)はすでにアストラゼネカ製ワクチン約5000万回分を製造。インド保健当局の有識者はこの日、会合を開き、緊急使用許可の是非について討議した。1月1日に会合を開き、再度討議する。

このほか、チリも承認に関心を表明。世界保健機関(WHO)のタリク・ヤシャレビチ報道官は、アストラゼネカ製ワクチンが輸送や価格などの面で極めて重要との認識を示した。

先進国での対応では、アストラゼネカがこの日、欧州連合(EU)当局にワクチンの全データを提出したと表明。また、米政府の新型ウイルスワクチン開発を加速する「ワープ・スピード作戦」のスラウイ首席顧問はこの日、米国ではアストラゼネカ製ワクチンの緊急使用が4月に承認される公算が大きいと述べた。

カナダは、アストラゼネカから一段の情報提供が必要としている。

[ロイター]


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