最新記事

香港

「中国は香港の一世代をまるごと抹殺することも厭わない」

“China Is Wiping Out a Whole Generation of Hong Kongers”

2020年12月3日(木)18時35分
デービッド・ブレナン

「(黄らに対する禁固刑は)異常に重い刑であり、司法の独立が脅かされた疑いがある」と、羅は語った。「裁判所はまたもや当局の好む弾圧のツールとなったようだ。当局は見せしめのために著名な活動家を収監するつもりだったのだろう」

周は外国の勢力と結託して国家の安全を脅かしたとして、国安法違反の罪にも問われている。つまり、終身刑になる可能性もある、ということだ。周は今年6月に本誌の取材に応じ、「これほど強力で絶大な権力を持つ体制と闘うのは決して容易ではないが、私は香港にとどまり、活動を続けたい」と話した。「これが私たちの最後の闘いになるかもしれない」

国安法の適用範囲は非常に広いため、周だけでなく、黄と林も今後ほかの罪で起訴される可能性がある。香港の裁判所は抗議デモ関連で今や処理しきれないほど多くの訴訟を抱えている。「判決が山積みになるだろう」と、羅は言う。「正直なところ3人がいつ出所できるか予想もつかない」

羅が願うのは、「国際社会が不公正な判決を批判する声を上げ、3人の即時釈放を求めること」だ。「量刑判決を受けた後、黄が(弁護士を通じて)宣言したように、これが闘いの終わりではない。それぞれの持ち場で、粘り強く抵抗することだ。(国際社会は)今こそ香港のために声を上げてほしい」

「次はお前の番だ」

人権団体も中国による香港の民主派弾圧を問題視している。アムネスティ・インターナショナルのアジア太平洋地域ディレクター、ヤミニ・ミシュラは声明を発表、「3 人はただ抗議の声を上げ、平和的なデモを行っただけなのに、当局はまたもや政治的な動機から(国安法を)利用し、彼らに『反政府的な運動に他者を扇動した』罪を着せた」と糾弾した。

「香港の抗議運動は総じて指導者のいない自発的な運動だが、当局はよく知られた活動家を標的にすることで、誰であれ公然と政府を批判する人に警告を発しようとしている。『次はお前の番だぞ』と」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中