「身内」で固めたバイデン外交チームに待ち受ける難題
ロシア
ブリンケン、サリバン両氏は、対ロシア政策ではこれまでより厳しいアプローチを立案すると予想される。バイデン氏が選挙前に「独裁者たちに擦り寄る時代は終ったことを敵対国に明確に示す」と述べたとき、彼が特にウラジーミル・プーチン大統領を念頭に置いていたことはほぼ確実である。
ブリンケン氏は、ロシアがクリミア半島をウクライナから併合したとき、オバマ政権のもとで働いていた。同氏は9月、バイデン氏はロシア政府による侵略があれば、制裁措置も含めて対抗していく考えであると述べている。また同氏はCBSによるインタビューのなかで、「我が国が抱える難題につけ込もうとしている」としてロシアを非難している。
バイデン氏は、米ロ間に唯一残された戦略核兵器削減条約(新START)の延長を望んでいる。延長されなければ、1月20日のバイデン氏就任から16日後に同条約は失効し、戦略核弾頭及びそれを運搬する爆撃機・ミサイルの配備に関する制約はすべて撤廃されてしまう。
イラン
最終的に2015年のイラン核合意へと至る秘密交渉の際、中心的な役割を担っていたのがサリバン氏である。同氏もブリンケン氏も、イラン政府との外交交渉に戻ることを呼びかけている。
2018年にトランプ大統領が離脱したイラン核合意は、イランによる核兵器開発を阻止するため、経済制裁の緩和と引き替えに同国の核関連計画を制限しようという趣旨である。
トランプ大統領はこの合意から離脱して米国による制裁を復活させるとともに、さらに多くの制裁を科したが、これまでのところ、イランに再交渉を強いる取り組みとしては失敗に終わっている。
バイデン氏は、まずイラン側が厳格な順守を再開すれば合意に復帰すると述べている。バイデン氏は「核合意を強化・延長するとともに、不安定化を招くイランによるその他の活動に対しても、より効果的に対応していく」ため、同盟諸国との協力を進めることになろう。
だが、当初のイラン核合意に復帰するといっても単純な話ではなく、イランがさらなる譲歩を求めてくることはほぼ確実である。