「身内」で固めたバイデン外交チームに待ち受ける難題
北朝鮮
ブリンケン氏は、史上初の米朝首脳会談によっても北朝鮮による核兵器開発の断念に向けた進捗につながらず、米国がこれまで以上の危険にさらされている状況に変わりないとして、北朝鮮の指導者である金正恩氏へのトランプ政権の対応を批判している。
ブリンケン氏は9月、CBSニュースに対し、米朝首脳会談について「その代償は何だったか。何も得られないより、さらにひどい」と述べた。
とはいえ、ブリンケン氏をはじめとするバイデン政権のチームが北朝鮮にどのように対応していくかは、さらに不透明である。ブリンケン氏は、同盟諸国ともっと密接に協力し、中国が北朝鮮に対し交渉のテーブルにつくよう「正真正銘の経済的な圧力」をかけることを求めていくと約束している。
アフガニスタン
バイデン氏の国家安全保障担当チームはアフガニスタンに関して厳しい判断を迫られることになる。トランプ大統領は先週、アフガニスタン駐留米軍部隊を1月中旬までに4500人から2500人に削減することを決定した。これによってアフガニスタン政府・米国政府が政権と対立するタリバンに対応する能力は減衰することになる。
アフガニスタン政府・タリバン間の和平合意を進展させようというトランプ政権の取組みは棚上げとなっており、米国が手を引くにつれて、タリバン側には妥協するインセンティブがほとんど残っておらず、武力紛争は激化している。
大きな問題となるのは、3月に米国・タリバン間で成立した合意に基づき、バイデン政権が2021年5月までにすべての米軍部隊を撤退させるかどうか、である。だが、武力攻撃の抑制、アルカイダその他米国の国益にとって脅威となるイスラム主義グループとの絶縁というタリバン側の約束は実現していないままなのだ。
ブリンケン氏は「明確な戦略がないまま」期限を設けずにアフガニスタンやシリアのような地域に米軍を派遣しておくことは「止めるべきだし、(バイデン政権のもとで)止めることになる」と述べている。だがそうした決定は、現地状況に関する軍事的な評価をもとに同盟諸国との協議を経て下されるものであり、米軍のプレゼンスが維持される可能性は残っている。
Matt Spetalnick and Arshad Mohammed(翻訳:エァクレーレン)
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