最新記事

米中対立

トランプ政権、軍関連で中国企業89社の取引原則禁止を検討 ロシアの28社も

2020年11月24日(火)10時25分

トランプ米政権は、航空宇宙分野などの中国企業89社について、軍に関連しているとして、米国の製品や技術の購入を制限することを検討している。米商務省が策定した規制案と、対象企業リスト案をロイターが確認した。写真は北京で開催された航空関連ショー。2017年9月撮影(2017年 ロイター)

トランプ米政権は、航空宇宙分野などの中国企業89社について、軍に関連しているとして、米国の製品や技術の購入を制限することを検討している。米商務省が策定した規制案と、対象企業リスト案をロイターが確認した。

この草案には、ロシア企業28社もリストアップされ、合計すると117社となる。リストアップはまだ途中で、117社の選定は第一段階としている。

トランプ米政権は数カ月前から中国への圧力を強めており、今月12日には、中国軍が所有または支配していると見なされる中国企業への投資を禁止する大統領令を発表した。

このリストが公表されれば、米中の緊張が一層高まり、航空機分野など中国と取引がある米企業には打撃となる可能性がある。

米商務省の報道官はコメントを差し控えた。

中国外務省の趙立堅報道官は「米国による、いわれのない中国企業の抑圧に強く反対する」と表明。米国の措置は市場競争の原理や、米国が支持していると主張する貿易・投資の国際規範に著しく違反するものだと指摘した。

その上で、中国企業は常に法に従って活動してきたほか、米国など海外で活動する際は現地の法規制を厳格に守っていると強調した。

米商務省は、軍関連の中国およびロシアの企業を特定し、これらの企業に米企業が部品などを供給する場合は政府にライセンスの申請を義務付ける規則案を策定した。規則案によると、その申請は、却下される可能性の方が大きいという。

規則案に含まれるリストには、ボーイングやエアバスを追う中国の取り組みを代表する中国商用飛機有限責任公司(COMAC)や、中国航空工業集団(AVIC)とその関連企業10社が入っている。ロシア企業では、航空機メーカーのイルクートが含まれる。

ワシントンの通商関連弁護士で元商務省の当局者のケビン・ウルフ氏によると、商務省は規則案を産業の代表者らの技術的助言委員会に開示したが、それは機密扱いになっている。

ロイターが確認したルール案で、商務省は、米国の技術がリストアップした企業にわたるのを管理するのは「国家の安全保障上の利益を守る上で不可欠」と説明している。

しかし、元米当局者は「ただリストを作成し実施するのは挑発的行為」と指摘。航空宇宙業界関係者は、中国の報復行動をあおる可能性があると述べた。

*情報を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・アメリカ大統領選挙、敗残のトランプを待ち構える訴訟の山 検察による刑事捜査も
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力


ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

リトアニアが緊急事態宣言、ベラルーシの気球密輸が安

ワールド

タイとカンボジア、国境沿いで衝突拡大 停戦維持が不

ビジネス

ドイツ輸出、10月は米・中向け大幅減 対EU増加で

ワールド

米軍、重要鉱物の国内精製施設開発へ 中国依存からの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 10
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中