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猫カフェに「子猫2匹捨てた」飼い主 ペット飼う資格「ある人・ない人」の決定的差

2020年11月7日(土)14時40分
阪根 美果(ペットジャーナリスト) *東洋経済オンラインからの転載

コロナ禍で高まるペット需要。一方で今後、安易にペットを飼ってしまったがために、飼い主の責任を放棄する人たちが増える危険もある。写真は無事保護された子猫のしゅん君(左)とほのかちゃん(右)(写真:保護猫カフェ「ととの森」提供)

コロナ禍で在宅勤務が増えたことから、犬や猫などのペットを飼う人が増えてきています。「時間に余裕ができた」「外出できないストレスをペットが癒やしてくれる」などの理由で、ペット需要が急速に伸びているようです。

SBIプリズム少額短期保険会社が2020年10月9日に公表した「コロナ禍におけるペットとのライフスタイルの変化」についてのアンケート調査(20歳以上の男女/ペット飼育者1100名対象)によると、コロナ禍で35%が犬や猫などのペットを迎えることを検討、また20%が実際にペットを迎え入れていて、コロナ禍でのペット需要増を確認できる結果であったとしています。

一方で、少し前からペットを安易に手放したり、捨てたりする人も増えていると耳にするようになりました。SNSや里親募集サイトなどには新しい飼い主を求めるペットの情報があふれていますが、コロナ禍以降、その数が増えていると感じています。

そんな中、ある出来事が筆者に衝撃を与えました。千葉県船橋市の猫カフェの店頭に子猫2匹が置き去りにされたのです。

看板の裏に隠すように捨てられた子猫たち

2020年8月30日午後4時45分、千葉県船橋市の保護猫カフェ「ととの森」の店頭にキャリーバッグを持った女性がやってきました。女性は猫カフェの看板の裏に隠すようにして、キャリーバッグを置き、何事もなかったかのようにその場を立ち去りました。その一部始終を防犯カメラがとらえていたのです。

保護猫カフェ「ととの森」があるのは2階建ての商業施設の1階。食料品を扱うスーパーや100円ショップ、大手家電量販店などが店舗を構えており、店内や駐車場はいつも混雑しています。にぎやかな場所にある保護猫カフェのため、「ここなら置き去りにした者が特定されることはないだろう」と女性は判断したのかもしれません。

「ととの森」代表の今村瞳さんは、「この日は営業日で、不足しているものの買い出しに行こうと店を出たところ、看板の下にあるキャリーバッグを発見しました。その中には子猫が2匹入っていました。ここなら保護してくれるかもと思って置いたのかもしれませんが......」と話します。

newsweek_20201106_120009.pngコロナ禍以降、引き取り依頼の電話相談が増え、「安易に捨てる人が増えないといいなぁ」と危惧していたといいます。保護された子猫2匹はいったん船橋市動物愛護センターに引き取られましたが、9月7日に今村さんがそこから引き取り、動物病院でウイルスチェック、ワクチン接種、健康診断を済ませたそうです。以降、とくに健康に問題はなく元気にしているのですが、2匹が人をとても怖がっていることが気になる部分だとか。

「捨てる人にも事情があるのはわかります。でも、捨てるという選択肢は、捨てた人にも、捨てられた猫たちにもつらい思いしか残りません。みんなで考えれば、幸せになるための選択肢はあります。捨てた後も、今も、ずっと苦しいはずですから」と今村さんは話します。

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