最新記事

2020米大統領選

アメリカ大統領選、候補者に「万が一の事態」が起きたらどうなる?

2020年10月7日(水)16時21分

トランプ米大統領の新型コロナウイルス感染は、11月3日の大統領選挙に向けた新たな波乱要因になっている。写真はホワイトハウス。ワシントンで2日撮影(2020年 ロイター/Joshua Roberts)

トランプ米大統領の新型コロナウイルス感染は、11月3日の大統領選挙に向けた新たな波乱要因になっている。マーク・メドウズ大統領首席補佐官は、トランプ氏の症状は軽いという。だが、仮に大統領選の候補者や当選した次期大統領が死亡または再起不能となった場合はどうなるのか。

以下、米国の法律及び各政党の内規が、こうした想定にどのように備えているのか確認してみよう。

<投票が延期される可能性はあるか>

11月3日となっている投票日が延期されることも考えられる。ただし、その可能性は非常に低い。合衆国憲法は選挙日程を決める権限を連邦議会に与えている。法律では、大統領選挙は4年ごとに、11月最初の月曜日に続く最初の火曜日に実施されると定められている。

共和党優位の上院が選挙の延期を可決したとしても、民主党優位の下院が反対するのはほぼ確実だ。大統領選挙の延期は過去に例がない。

<選挙前に候補者が死亡した場合はどうなるのか>

民主党全国委員会、共和党全国委員会とも、規則では誰を新たな候補者とするかについて党員投票を行うよう求めることになっている。だが、候補者の交代が選挙に間に合わない可能性は高い。

フロリダ大学の米国選挙プロジェクトによれば220万人以上がすでに期日前投票を済ませているという。多くの州では、投票用紙を修正できる期限がすでに過ぎている。新型コロナの感染拡大が続く中、郵便投票の利用が広がることが予想されるが、すでに30近い州で投票用紙が有権者に送付されている。

連邦議会が選挙を延期しない限り、11月3日以前に候補者が死亡した場合でも、有権者は共和党のトランプ候補か民主党のジョー・バイデン候補のどちらかを選んで投票することになる。だが、勝利した候補者が死亡した場合には、新たな問題がいくつか浮上する。

<大統領選挙人が投票を行う前に候補者が死亡した場合はどうなるのか>

選挙人制度のもとでは、人口に比例して50州及びコロンビア特別区に割り当てられた「選挙人投票」の過半数を確保することによって、当選者が決定される。

選挙人は12月14日に集合し、次期大統領を決定する投票を行う。当選するには、合計538人の選挙人のうち、最低270人を確保しなければならない。

各州の選挙人の票は、通常、その州の一般投票での勝者に投じられる。各選挙人が自由に投票先を決めることを認めている州もあるが、半分以上の州は、選挙人が一般投票での勝者に投票することを義務付けている。

選挙人による投票先を拘束している州法の大半は、候補者が死亡した場合にどうすべきかを考慮していない。ミシガン州法では、投票用紙に記載された者のうち、自州で勝利した候補者に投票することを求めている。対照的にインディアナ州法では、候補者が死亡した場合はその候補者の党が決定した新たな候補に投票先を切り替えるよう規定している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中