最新記事

アメリカ政治

トランプ、米戦没兵士を「負け犬」呼ばわりか 報道受け共和党内からも批判相次ぐ

2020年9月7日(月)12時56分

トランプ米大統領が戦死した米兵を「負け犬」呼ばわりしたとの報道を受け、民主・共和両党から批判が相次いでいる。大統領は報道を否定しているものの、11月3日の大統領選に影響が及ぶ可能性もある。写真はホワイトハウスで記者団の質問に答える同大統領。9月4日撮影。(2020年 ロイター/Leah Millis)

トランプ米大統領が戦死した米兵を「負け犬」呼ばわりしたとの報道を受け、民主・共和両党から批判が相次いでいる。大統領は報道を否定しているものの、11月3日の大統領選に影響が及ぶ可能性もある。

米誌アトランティックは3日、トランプ大統領が2018年11月のフランス訪問時に米兵墓地への訪問を中止し、墓地に埋葬されている米軍兵士を「負け犬」と呼んだと報じた。

この報道について、民主党のペロシ下院議長は6日、MSNBCとのインタビューで「心が痛む」と批判。

共和党のヘーゲル元国防長官もABCの番組で、事実であれば「卑劣だ」と発言。トランプ氏は、過去にもマティス前国防長官など軍人を中傷しており、報道には「信憑性」があるとの認識を示した。

ジェフ・マッコースランド元陸軍大佐もNBCニュースで、トランプ氏が長年「軍人を見下していたことは明らかだ」と述べた。

トランプ大統領は3日、アトランティック誌の報道を否定。6日にも「偽情報だ」とし「(メディアと民主党は)何でも言う。私と軍に関する最近の嘘もそうだ」とツイッターに投稿した。

アトランティック誌は、直接事情を知る4人の匿名筋から得た情報だと主張。その後、他の複数のメディアも、同誌の情報が裏付けられたと報じた。

ブルームバーグは6日、トランプ氏が米兵墓地を訪問する予定だった時間に、米大使公邸でホワイトハウスに送る美術品を選んでいたと報道。ホワイトハウスのコメントは取れていない。

民主党の大統領候補であるバイデン前副大統領は、軍を支持してきた実績をアピールする広告を6日夜にケーブルテレビで全米に放映した。フェイスブックやインスタグラムでも広告を流す予定だ。病死した長男のボー・バイデン氏はイラク戦争に従軍していた。

トランプ大統領に反発する共和党員らが結成した政治団体「リンカーン・プロジェクト」は5日、トランプ氏の発言を批判する新たな動画を制作。トランプ氏は、足の骨の損傷を理由にベトナム戦争中に徴兵を免除されている。

一方、エスパー国防長官など、複数の政権関係者はトランプ氏を擁護している。

ウィルキー退役軍人長官は6日、CNNの番組で、自分が知る限り大統領が軍や退役軍人を中傷したことは一度もないと発言。ムニューシン財務長官も記者団に、トランプ氏は「100%」軍を支持していると述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・米ウィスコンシン州、警官が黒人男性に発砲し重体 抗議活動で外出禁止令
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?


20200915issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月15日号(9月8日発売)は「米大統領選2020:トランプの勝算 バイデンの誤算」特集。勝敗を分けるポイントは何か。コロナ、BLM、浮動票......でトランプの再選確率を探る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「ウクライナ存続は米にとって重要」、姿勢

ワールド

IMF、中東・北アフリカ成長予想を下方修正 紛争激

ビジネス

米国株式市場=ほぼ横ばい、経済指標や企業決算見極め

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米指標やFRB高官発言受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 9

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中