最新記事

日本政治

自民総裁選、二階派は菅官房長官を支持へ 党員投票は省略か

2020年8月30日(日)18時15分

共同通信などは菅義偉官房長官が自民党の総裁選に出馬する意向を固め、二階俊博幹事長に伝えたと報じた。写真は8月26日、ロイターのインタビューに答える菅官房長官。東京で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

退陣を28日に表明した安倍晋三首相の後継人事が、本格的に動き出した。今後の動向を大きく左右する影響力を持つ自民党の二階幹事長が率いる二階派の河村健夫元官房長官は30日、菅義偉官房長官が総裁選に出馬すれば、二階派として支持する公算が大きいとの見解を示した。また、今回の総裁選出では、全国の党員・党友による投票を除く「簡易型」を採用する方向であり、1日の総務会で正式決定する見通しであると述べた。

共同通信など複数の国内メディアは30日、菅官房長官が自民党の総裁選に出馬する意向を固め、29日に二階俊博幹事長に会って、その意向を伝えたと報じている。菅氏が正式に出馬を表明すれば、二階幹事長の得る態勢が整い、自民党総裁は菅氏を中心に展開される可能性が出てきた。

この日は、二階俊博幹事長と河村氏、武田良太防災担当相、林幹雄幹事長代理が出席した二階派の幹部会が開催され、その後、河村氏は記者団の質問に答えた。

河村氏は、総裁選の手順に関し、新型コロナウイルスの感染拡大による情勢を踏まえ「時間的問題、現実問題として、この時期に総裁選挙や全国遊説はできない。期間が相当かかるので緊急措置としてやむをえない」と説明。

その上で、今回選出される新総裁の任期が来る1年後は、党員投票を含めた正式な総裁選を実施するのかとの質問には「そういうことになると思う。きちっとした形でやると当然そうなる」と語った。

報道されている菅氏の総裁選出馬に関して「1日の(総務会の)結果をみてからとの流れでないか」と指摘。二階派として菅氏を支持するかとの質問には「安倍政権は1年間を残した中で(幕切れとなり)、いろいろな懸案事項等があり、菅長官がすべて承知しているので、ひとつの流れとして、むしろ菅長官に責任があるという思いさえ我々はしている」と表明。「二階派も会合を予定しているので、その段階で話をしたい。空気としてはそういう(菅氏支持の)空気が生まれつつあるのではなかと思う」と述べた。

テレビ東京は、菅氏との29日の会談で二階幹事長が「頑張ってほしい」と応じ、菅氏を応援する姿勢を示したと伝えている。

自民党総裁選を巡っては、新型コロナウイルス渦中に大きな政策変更は好ましくないとして、「女房役」と言われる官房長官として安倍首相を長く支えてきた菅氏を推す声が、党内で広がり出していた。

総裁選の候補者には岸田文雄政調会長や石破茂元幹事長、河野太郎防衛相なども名前が挙がっている。

(竹本能文 編集:田巻一彦)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・韓国、新型コロナ第2波突入 大規模クラスターの元凶「サラン第一教会」とは何者か
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる


20200901issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月1日号(8月25日発売)は「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集。人と物の往来が止まり、このまま世界は閉じるのか――。11人の識者が占うグローバリズムの未来。デービッド・アトキンソン/細谷雄一/ウィリアム・ジェーンウェイ/河野真太郎...他

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

航空業界ネットゼロに黄信号、SAF供給不足 目標未

ビジネス

金利上昇続くより、日本の成長や債務残高GDP比率低

ワールド

米、中国軍のレーダー照射を批判 「日本への関与揺る

ビジネス

午前の日経平均は反落、FOMC警戒で朝高後に軟化
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中