最新記事

欧州

ベラルーシ大統領ルカシェンコ「欧州が制裁なら輸送ルート遮断」

2020年8月29日(土)11時59分

大統領選の結果を巡り反政権デモが3週間続いているベラルーシのルカシェンコ大統領は28日、欧州が制裁を科せば、ベラルーシを経由する欧州への輸送ルートを遮断すると述べた。写真は23日、ミンスクで撮影(2020年 ロイター/BelTA/Handout via REUTERS)

大統領選の結果を巡り反政権デモが3週間続いているベラルーシのルカシェンコ大統領は28日、欧州が制裁を科せば、ベラルーシを経由する欧州への輸送ルートを遮断すると述べた。

ルカシェンコ氏は、欧州がベラルーシを通してロシア向けにモノを運ぶことを阻止するほか、ベラルーシが欧州連合(EU)の加盟国であるリトアニアの港を通して輸出している貨物を別の経路で輸送すると述べた。ベラルーシを経由する物資は、リトアニアの鉄道と港を通る貨物量の3分の1近くを占める。ベラルーシはまた、欧州がロシアへの陸路輸送の主要経路。ロシア産原油を欧州へ運ぶパイプラインも通っている。

8月9日の大統領選では26年間大統領職に就いてきたルカシェンコ氏が再選を果たした。ルカシェンコ氏は、選挙結果を不正操作したとする反政権派の主張を否定。ルカシェンコ氏が大統領職を退くことを求め、何千人もの国民が抗議活動を繰り広げている。ルカシェンコ氏は抗議が西欧諸国の支持を受けていると主張し、北大西洋条約機構(NATO)が軍をベラルーシ国境に送り込んだと批判するが、NATOは否定している。

ルカシェンコ氏は軍の半分に対して戦闘準備に入るように指示したと表明。ロシアのプーチン大統領とは、西欧諸国の脅威にさらされた場合に両国の軍が団結することで合意したという。

隣国のリトアニアとポーランド、ラトビアは欧州に対して、ルカシェンコ氏に断固たる行動を取るよう要請。大統領選で2位だった反政権派のチハノフスカヤ氏は選挙後にリトアニアへ出国したが、同氏を受け入れたことでリトアニアはルカシェンコ大統領の怒りを買った。

リトアニアの大統領の報道官は28日、「われわれの大統領は欧州や域内、国家レベルでのベラルーシへの制裁を支持する。ベラルーシでの政府機関の暴力行為や人権侵害に対する措置だ」と話した。

西欧諸国は今のところ慎重に動いている。ベラルーシで始まったばかりの民主化運動を支持する一方、ロシアによる介入を懸念している。EU外相は27日、選挙の不正操作や抗議活動の取り締まりを巡り最大20人のベラルーシ人に制裁を科すことを協議した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・韓国、新型コロナ第2波突入 大規模クラスターの元凶「サラン第一教会」とは何者か
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる


20200901issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月1日号(8月25日発売)は「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集。人と物の往来が止まり、このまま世界は閉じるのか――。11人の識者が占うグローバリズムの未来。デービッド・アトキンソン/細谷雄一/ウィリアム・ジェーンウェイ/河野真太郎...他

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

12月FOMCで利下げ見送りとの観測高まる、9月雇

ビジネス

米国株式市場・序盤=ダウ600ドル高・ナスダック2

ビジネス

さらなる利下げは金融安定リスクを招く=米クリーブラ

ビジネス

米新規失業保険申請、8000件減の22万件 継続受
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 6
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中