最新記事

韓国社会

韓国、輸出好調なコンテンツ業界に落とし穴 女性嫌悪と男性嫌悪が激突炎上

2020年8月21日(金)11時48分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

女性嫌悪の表現があるとして批判を受けているWeb漫画家のギアン84と問題となった『復学王』 YTN News / YouTube

<性差別への過剰な反応が、男女互いの批判の応酬になった──>

昨年の韓国コンテンツ輸出額で、全体の67%とダントツの1位となった韓国ゲーム市場。また、『梨泰院クラス』など数々の作品が映像化され、今年あるweb漫画会社の月間売り上げが史上初の1億ウォンを突破したことが話題となった韓国漫画業界。

この二つの韓国人気コンテンツの勢いはこれからも止まることを知らず、右肩上がりが予想される一方で、先月から今月にかけてゲームとweb漫画で女性嫌悪とされる作品が発表され議論を呼んでいる。

ネット業界大手カカオが運営するカカオゲームで配信されているRPGゲーム『ガーディアン・テイルズ』は、先月30日にゲーム内の新たなイベントステージを公開した。しかし、その直後からネットを中心に批判の的となってしまった。

女性嫌悪vs.男性嫌悪

newsweek_20200821_004936.jpg

問題になったRPGゲーム『ガーディアン・テイルズ』の画面より カカオゲームズ/ YouTube

ことの発端は、このゲーム内のセリフで「雑巾のようなXX」という女性を卑下する意味を含む単語が含まれていたことだ。韓国で「雑巾」は娼婦を意味する隠語だ。

これを見た女性プレーヤーを中心とした人々がネット上で批判し始め、さらに、このゲームの年齢設定は「12歳以上プレイ可能ゲーム」であり、放送禁止用語は適切でない表現との声も上がった。騒動になり始めると、カカオゲームスは直ちにこの文章を「ピエロのような者」というセリフに修正した。

女性嫌悪の表現から始まったこの騒動。しかし、今度は「ピエロ」という単語が男性嫌悪の表現であると指摘が集まりだした。実は、「광대(ピエロ)」という単語は、一部のフェミニストの間で男性を誹謗するときに使われており、映画「ジョーカー」の主人公から、"恋愛できない男性"の事を馬鹿にしたようにピエロと呼んでいるのだという。

これに怒った男性たちがネット上で呼びかけ、アプリダウンロード元のGoogle Playストアで評価を下げる"評点テロ"が開始された。レビューにも「フェミニストのゲームである」「フェミニズム的修正にがっかりした」などの言葉が付くようになり、それまで5点満点中最高4.9点まで獲得していたのにもかかわらず、一気に評点テロにより1.8点まで下げられてしまった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意

ワールド

国際刑事裁の決定、イスラエルの行動に影響せず=ネタ

ワールド

ロシア中銀、金利16%に据え置き インフレ率は年内
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中