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「一つの中国」への挑戦か:アザール厚生長官訪台

2020年8月11日(火)14時29分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

米厚生長官が台湾訪問 断交以来最高位の訪台(8月10日) Central News Agency/REUTERS

コロナ対策を理由に訪台しているアメリカのアザール厚生長官が10日、蔡英文総統と会談した。中国は「一つの中国」に対する最も激しい裏切りであると抗議。アザールは蔡総統を習主席と言い間違える一幕も。

蔡英文総統と会談したアザール厚生長官

8月9日、アメリカのアレックス・アザール厚生長官が台北を訪問し、10日に蔡英文総統と会談した。1979年の米台断交以来、台湾を訪問したアメリカの現役閣僚の中では最高ランクとなる。

訪問目的は新型コロナウイルス(以下コロナ)の世界的な感染拡大を踏まえ、衛生分野における協力を軸として、防疫を含む各分野における米台間協力を強化していくことだ。

会談はコロナ感染を防ぐために、テーブルを挟んだ向かい合わせの形ではなく、それぞれがスピーチテーブルの前でスピーチをし、他の出席者は米台各側に半円形で着席するという形を取った

蔡英文は「トランプ大統領やポンペオ国務長官の温かな支持の下アザール厚生長官一行が台湾を訪問してくださったことを大変ありがたく思う」と前置きした上で「中国の圧力により台湾がWHOから排除され続けているのは非常に残念だ。台湾は既に国内の防疫を守っただけでなく、他の国の防疫にも協力できることを証明している。政治的要素が健康や人権の上に立つべきではない。WHOが台湾の参加を認めないのは、医学や健康管理という普遍的人権の原則に違反している」と強調した。

それに対してアザールは「ドナルド・トランプ大統領の台湾に対する強力な支持と友誼を、ここでお伝えすることができるのは、私にとって非常に光栄なことだ」、「蔡総統との会談と私のこのたびの台湾訪問の最大の目的は、台湾が公共衛生およびコロナとの闘いにおいて実に卓越した成果を収めたことを強調するためであり、さらに台湾とアメリカが疫病に対する予防と発見と対応を共有して共に協力をしていくためでもある」と述べた。

中国がアメリカに抗議

予想された通り、8月10日、中国外交部の趙立堅報道官は定例記者会見で「中国は一貫して米台の公的往来に断固反対する」と抗議した

趙立堅は以下のように強調した。

――台湾問題は米中関係の中で最も重要で最もデリケートな問題だ。「一つの中国」という原則は、米中関係の政治的基礎である。アメリカのやり方は台湾問題に関してアメリカがこれまで承諾してきた内容に著しく違反する。われわれはアメリカが「一つの中国」原則と「米中三つのコミュニケ」を厳重に守り、台湾との如何なる形の公的往来をも禁止する。

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