最新記事

中国

「一つの中国」への挑戦か:アザール厚生長官訪台

2020年8月11日(火)14時29分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

なお、米中三つのコミュニケとは、以下の三つである。

●1972年2月28日「米中共同コミュニケ」(上海コミュニケ)

●1978年12月16日「中華人民共和国とアメリカ合衆国の外交関係樹立に関する共同コミュニケ」

●1982年8月17日「中米共同コミュニケ」(八・一七コミュニケ)

アザールがPresident Cai(蔡総統)をPresident Xi(習主席)と言い間違える

冒頭に示した動画をご覧になると、アザールは開口一番"Thank you very much for President Xi for welcoming me to Taiwan today."と言っているのが分かる。

XiとはXi Jinping(習近平、シー・ジンピン)のことで、蔡英文は中国語のピンイン(発音記号)ではCai(又はTsai) Yingwen(ツァイ・インウェン)となる。

したがって「蔡総統」と言うつもりならば、「President Cai(プレジデント・ツァイ)」と言わなければならない。しかし、何をどう聞いても、「President Xi(プレジデント・シー)」と言ったとしか聞こえない。台湾流に翻訳すれば「習総統」と言ったことになる。

大変な問題になり台湾のネットは大騒動

しかし、台湾の総統府は「これは発音の問題だ」として切り抜けようとした

すると、野党の国民党が「アメリカに抗議すべきだ」と声明を出したりなどしたので、総統府は、「いや、あれはPresident Xiと言ったのではなく、Presidency(総統職)と言ったのだ」と弁明したりなどしたので、騒動はさらに大きく発展した

たしかに発音の問題とするのには無理があり、事実アザールは最初に言い間違えたことに気が付いたのか、次のPresidentの時は「プレジデント・ツァイ」と、「ツァイ」の部分を意識的に物凄く強く言っている。

誰からも指摘されずに気が付いただけでも「えらい!」と褒めてやりたいくらいだ。うっかり言い間違えてしまうと、そのことに気が付かないことが多いので、「よくぞ気が付いてくれた」とホッとしている。

アメリカの本気度

中国大陸のネットではアザールの訪台を「以疫謀独(疫病を以て独立を謀る)」と批判し、本当にコロナ問題を解決するためなら台湾でなく北京に行くべきで、アザールはそれを知っているから蔡総統ではなく、習主席と言ってしまったのだと揶揄している。

そしてコロナ感染者が世界中で最も多い国であるアメリカから飛行場に着いた者を、検査と14日間の隔離を行わずに台北市中に放ったことを台湾の住民は激怒していると扇動しているが、アザール一行は出発前に全てコロナ感染に関する検査を受けており、全員陰性という結果が出ている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ2都市にロシアが攻撃、和平協議直後

ビジネス

乳児ボツリヌス症の集団感染、バイハート社の粉ミルク

ワールド

北朝鮮抑止「韓国が主な責任」、米国防総省が関与縮小

ワールド

トランプ政権のEVインフラ助成金停止は違法、米地裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 3
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投稿したアメリカを嘲笑する動画にネット爆笑
  • 4
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    「これは違法レベル...」飛行機で「史上最悪のマナー…
  • 9
    トランプを支配する「サムライ・ニッポン」的価値観…
  • 10
    3年以内に日本からインドカレー店が消えるかも...日…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 4
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 9
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中