最新記事

香港

香港当局、黄之鋒など活動家24人起訴 天安門追悼集会に「違法」参加

2020年8月7日(金)10時19分

香港の捜査当局は6日、民主活動家の黄之鋒氏(写真)を含む24人を起訴した。香港で7月撮影(2020年 ロイター/Tyrone Siu)

香港の捜査当局は6日、民主活動家の黄之鋒(こう・しほう)氏を含む24人を起訴した。中国が民主化運動を弾圧した1989年の天安門事件を巡り今年6月4日に香港で開かれた犠牲者追悼集会に違法に参加した罪に問われている。

半自治権を有する香港で、天安門事件の犠牲者追悼式が禁止されたのは初めてだった。警察は新型コロナウイルス対策の一環で集会が規制されていたことを理由に、今年の追悼集会を許可しなかった。それでも数万人が町中でろうそくをともして追悼した。一つの区域で機動隊と参加者の小競り合いが生じたこと以外は、おおむね平和的な追悼集会だった。

暴動が多発した昨年の民主化運動を受け、中国当局は6月末に香港国家安全維持法(国安法)導入を決めた。決定を控える中で、今年の追悼集会は特に感慨深いものになった。民主活動家は国安法について、中国が香港の自由を奪う最新の行為と捉えている。

香港警察は声明で、無許可の認識があった上で集会を開いた罪で24人の男女(23─69才)を起訴したと発表。施行前の集会に国安法を適用した。

黄氏とその他の最低6人の活動家は自身のフェイスブックで、起訴されたことを報告。黄氏は「政権が再び、香港の活動家を何としてでも弾圧する計画であることは明らかだ」と述べた。

黄氏は5日、昨年の無許可集会参加などの罪に問われ、裁判所に出廷したばかり。判決は年内に出る予定。

国安法の下、中国政府は転覆や分離、テロ、海外勢との共謀に関する行為と見なした場合、最大終身刑となる罰則を科すことができる。西欧諸国は、香港を独裁政治へ仕向けていると批判している。

6月4日の追悼集会は中国本土では禁止されているが、1997年に中国に返還された際に表現や集会の自由など特定の自由を許された香港は毎年、世界最大の追悼式を開いてきた。

中国政府は天安門事件の詳細を明らかにしていない。事件数日後に公表された死者数は約300人となっているが、人権団体や目撃者は何千人もの犠牲者が出た可能性があるとしている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見
・韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット 一方で「TPOをわきまえろ」と論争に


2020081118issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
楽天ブックスに飛びます

2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国、サービス消費拡大へ新経済対策 文化・医療の促

ワールド

習氏のAPEC出席を協議へ、訪中する韓国外相が明か

ビジネス

中国・奇瑞汽車、 香港IPOで最大12億ドル調達へ

ワールド

米国との貿易協議は「前向き」で「建設的」=インド商
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中