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ルポ新宿歌舞伎町「夜の街」のリアル

西村コロナ担当相「4年続こうが、いくらでも経済的支援をしていく」

ASK THE CHIEF

2020年7月29日(水)17時40分
小暮聡子(本誌記者)

本誌のインタビューに応じる西村経済再生担当相(7月20日) HAJIME KIMURA FOR NEWSWEEK JAPAN

<なぜ休業要請と補償がセットではないのか。政府は何年先まで事業者を支援する用意があるのか。「夜の街」に伝えたいことは――。7月20日、西村康稔経済再生担当相が本誌の単独取材に応じた。本誌「ルポ新宿歌舞伎町『夜の街』のリアル」特集より>

――第一波における日本の対策として、うまくいったと評価している点と、反省点は。20200804issue_cover200.jpg

まず1番は、亡くなる方の数を人口当たりで見ても世界各国と比べて抑えられたことだ。1000人近くの方が亡くなられていることは本当に残念ではあるが、全体として非常に低い数に抑えることができたのは国民の皆さんの努力のおかげでもあるし、医療機関の現場の皆さんが頑張ってくれたおかげだ。

ただ、SARS (重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)を経験していないなかで、PCR検査の体制が十分にできていなかった点は大いに反省しなければいけない。検査を戦略的に広げていかないといけないので、今は濃厚接触者であれば症状のあるなしにかかわらずほぼ全ての人を対象にしている。

歌舞伎町などの接待を伴う飲食店の方たちにも積極的に受けてもらっている。店内に陽性者がいるか否かにかかわらず、全て行政検査として無料で受けてもらっている。リスクのあるところはこれで何とか感染を封じ込めていく。

――専門家の中からは、反省点としてリスクコミュニケーションの問題を挙げる声が聞かれる。特に、北海道大学の西浦博教授が何も対策を取らなければ約42万人が死亡するという被害想定を出したことは、一部の国民からも大げさだったと批判された。政府が被害想定を発表するという選択肢はなかったのか。

そういう議論さえ全くなかった。専門家の皆さんからそういう話があったわけでもないし、われわれの全く知らないところで発表されたことなので、事前に説明を受けたりもしていない。被害想定については専門家会議でオーソライズされたことでもない。当時の専門家会議に入っているメンバーの中にもいろんな意見がある。

専門家会議は何時間もかけて提言をまとめていて、提言は専門家の皆さんの教示であると考えているが、政府とは関係なく自分たちで文章を書いているので、ある人の考えはみんなが賛同すれば入るし、そうでないものは入らない。そういう意味で、西浦さんは個人の見方として、学者の判断として警鐘を鳴らした。それをどうこう批判することはない。危機感はわれわれも共有していた。

――専門家が独自にメッセージを発信していたことで専門家が政府のコロナ対策を主導しているかのような印象も広がっていたが、対策を最終的に決断するのは政府であり、そこに対する政治責任は政府にある。

当然だ。私は常に自分の責任はあると思っているし、自分の責任で会見もしていろんな批判も受けるが、最終的には政府、安倍総理をトップとする政府対策本部でいろんなことを決めていく。決まったことに関しては国民の皆さんにできるだけ丁寧に説明しないといけないと思っている。今は基本的には毎日会見し、できるだけ数字や科学的根拠やデータを挙げている。

もう1つ言えば、西浦先生のSIRモデル(感染症のモデル)にわれわれは頼ってきて、あれが最も基本であるということで日本を含め各国で使われてきたが、モデルにもさまざまな見方がある。緊急事態宣言を経験した今は、AI(人工知能)やスーパーコンピュータの「富岳」も使ってSIRモデルを検証することも始めている。

今を第二波と言うかは分からないが、秋以降にまた大きな波が来ることは当然想定しないといけないので、それに備えて、緊急事態宣言当時の対策がどうだったのか、SIRモデルをどう評価すればいいのかという分析をこの夏にやりたいと思い、シミュレーション開発について公募もしている。

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