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西村コロナ担当相「4年続こうが、いくらでも経済的支援をしていく」

ASK THE CHIEF

2020年7月29日(水)17時40分
小暮聡子(本誌記者)

――リスクコミュニケーションの問題として、最近は西村大臣と東京都知事の発言が食い違うことがあり、都民としてはどちらが司令塔かと混乱する。

まず各都道府県の知事はそれぞれのエリアにおける責任者だ。新型コロナ対策の特別措置法の責任者は私であり、大きな方針は国で決めて、後は地域の事情に応じて知事が判断していく。

緊急事態宣言の発出や解除の基準は私が判断しないといけない。ただそれぞれの地域で休業要請やアラートを出すか否かは知事の権限であり、知事が適切に判断して対応できるようサポートするのが私の仕事だと思っている。

ただ特措法第5条には、対策として国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は「必要最小限のものでなければならない」と明記されている。感染防止策として厳しくやる部分も当然あるが、一方で国民の経済や生活もあるし、やりすぎると私権の制約にもつながるので、バランスを取らないといけない。

知事の立場で何かやりすぎるところは、政府がちょっとやりすぎですよということは言わないといけない。例えば緊急事態宣言の際、ホームセンターや質屋も全て休業要請をするという案が東京都から出てきた。だがホームセンターは生活必需品を売っているし、質屋さんは金融機能を持っている。そこまで休業要請するのはやりすぎだという話をした。

一方で、もっとやらないといけないのに対策として不十分な場合、例えばガイドラインを守るように要請を出して、守っていないお店には行かないように自粛を求めるなどの措置には、特措法の24条9項を使っていただく。

それぞれのエリアの責任者は知事なので、最終的には知事が決めるが、やりすぎたり、足りなかったりする場合に、こういったことがあるのではと言って調整していくのが私の役割だ。私はお店に休業要請は出せないので。

――特措法には休業補償についての規定がなく、自粛の呼びかけと補償がセットになっていない。なぜ特措法に休業補償の規定を含めなかったのか。

まず、事業体は本当にさまざまあって、中小企業だけで全国で300万社以上あり、個人事業主やフリーランスを含めると数百万社に上る。その方々のひとつひとつにどれだけ売り上げがあって休業要請でどれだけ損失が出たのかを算定して、その金額を1件1件について出すということは事実上不可能だ。

われわれは今回、売り上げが前年同月比で50%以上影響を受けた事業者には上限200万円の持続化給付金を支給し、中小企業が都道府県知事の要請で休業や営業時間を短縮した場合には、雇用調整助成金として従業員に支払う休業手当の10割を国が助成している。

また、地方創生臨時交付金として各都道府県に合計3兆円を確保しているので、それぞれの自治体でそれを使って協力金という形で支給することできる。観光都市の場合、旅館やホテルはとても200万円ではもたないのでより大きな金額で支援するなど、地域の事情に応じて対応していただく。法律に書くかどうかは別にして、私は事実上、補償していると思っている。

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