最新記事

米メディア

新型コロナでテレビニュースは再び黄金時代を迎えたのか?

CHASING THE GHOST OF WALTER CRONKITE

2020年6月27日(土)14時00分
ポール・ボンド(カルチャー担当)

とはいえ、いいことずくめではない。NBC、CBS、ABCのそれぞれ親会社であるコムキャスト、バイアコムCBS、ウォルト・ディズニーの第1四半期決算を見ると、どこも広告収入が落ち込んでいる。

しかも視聴率が上向くなか、NBCは突然、NBCニュースを率いるアンドリュー・ラックを解任した。ラックは朝の番組『トゥデー』の元司会者のセクハラ問題に適切に対応せず、ハリウッドの大御所ハービー・ワインスティーンのセクハラ疑惑でも報道姿勢を問題視されていた。

「私たちの使命は何ら変わっていないことに、みんな気付き始めた」と言うのは『CBSイブニングニュース』の制作総責任者ジェイ・シェイラー。「要は人々が自分の世界を理解するのを助けること。それが今も昔もテレビニュースの使命だ」

magw200627-news02.jpg

家族そろって大統領選挙の討論番組を見る1960年代の典型的な居間の風景 TIME LIFE PICTURES-NATIONAL ARCHIVES-THE LIFE PICTURE COLLECTION/GETTY IMAGES

報道には硬軟織り交ぜて

そのとおりだが、環境の変化には対応しなければならない。「技術の進歩に迅速に対応できることは証明できた。今はキャスターが自宅にいても上質な番組を放送できる」と、NBCニュースのジャネル・ロドリゲス編集担当副社長は言う。「異例の事態だからこそ、私たちの責任は大きい」

CBSは『イブニングニュース』に、コロナウイルス関連のコーナーを4つ新設した。治療薬やワクチンの開発、経済面の影響、最前線の対応、そして「新しい日常」に備える取り組みの4つだ。

ABCも負けていない。イントロ部分をケーブル局のニュース番組並みに長くする一方、視聴者に勇気を与える「ストロング・アメリカ」のコーナーにも力を入れている。例えば、体の不自由な退役軍人がフードバンクで何時間も並んだのに何ももらえなかった話を流すと、後日談として、この退役軍人に視聴者からの寄付が殺到した話も伝えた。

キャスターのミュアーは言う。「状況は最悪だけれど、それでも人々がつながれる瞬間はある。それが大事なんだ」

なにしろ今は大統領が社会の分断をあおり、世論がひどく二極化してしまった時代。昨年11月の世論調査でも、民主党支持者の66%は報道メディアを信用していたが、共和党支持者では33%だった。

それでも今回のコロナ危機で、少しは状況が変わってきたらしい。調査会社スミスガイガーによる4月の調査では、テレビのローカルニュースと全国ニュースの支持率がそれぞれ75%と61%で、どんな政府機関よりもはるかに高かった。

何かの変化が始まっている、と南カリフォルニア大学ジャーナリズム大学院メディアセンターのクリスティーナ・ベラントーニ所長は言う。「人々がニュースをもっと見るようになれば、ニュースキャスターへの信頼と忠誠心が育まれ、クロンカイトの時代のような雰囲気が戻るかもしれない」

<関連記事:スウェーデンが「集団免疫戦略」を後悔? 感染率、死亡率で世界最悪レベル

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イスラエル、イラン最高指導者ハメネイ師殺害 翌

ワールド

再送イラン最高指導者ハメネイ師死亡、国営メディア確

ワールド

中国、イラン攻撃の即時停止要請 米・イスラエルに懸

ワールド

イラン最高指導者ハメネイ師が空爆で死亡、86歳 米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作曲家が「惨めでもいいじゃないか」と語る理由
  • 2
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 3
    「努力が未来を重くするなら、壊せばいい」──YOSHIKIが語った創作と人生の覚悟
  • 4
    【クイズ】世界で最も「一人旅が危険な国」ランキン…
  • 5
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 6
    「本当にテイラー?」「メイクの力が大きい...」テイ…
  • 7
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 8
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 9
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「…
  • 10
    米・イスラエルの「イラン攻撃」受け、航空各社が中…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中