最新記事

感染症

米、農業作業者の間で新型コロナ感染拡大 食料供給に新たな障害も

2020年6月12日(金)09時47分

米国の野菜や果物農園の作業者や梱包作業者の間で新型コロナウイルスの感染が広がっている。カリフォルニア州デルマーで3日撮影(2019年 ロイター/MIKE BLAKE)

米国の野菜や果物農園の作業者や梱包作業者の間で新型コロナウイルスの感染が広がっている。国内の食料供給に新たな障害をもたらす可能性があり、従業員の安全を守りながら食料のサプライチェーン維持に向けた舵取りが求められている。

野菜や果物の収穫は、作業が屋外でソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)を維持することも可能だが、作業員が至近距離で働く梱包施設などではウイルスの感染リスクが高い。米国ではこれまでに食肉加工大手の精肉施設でも新型コロナの集団感染が発生している。

地元保健当局のデータによると、りんごの名産地として知られるワシントン州のヤキマ郡では5月下旬までに農業従事者600人超が新型コロナに感染。うち62%がりんごの梱包作業などに携わっていた。今月10時点で同郡の感染者数は4834人と、1人当たりの感染率では米西海岸で最も高い。

「世界のサラダボウル」と呼ばれる農業の盛んなカリフォルニア州モントレー郡でも今月5日時点で農業従事者247人が新型コロナに感染。同郡の感染者総数の39%を占める。

にんじん生産大手の従業員によると、病欠が相次ぎ、従業員が大幅に減る時期もあったという。

ニールセンのデータによると、新型コロナ感染抑制策でレストランなどが閉鎖される中、米国内のにんじん売上高は5月30日までの13週間で前年同期比22%増加した。

また、フロリダ州イモカリーのトマト生産者の間でも感染者数が増加している。同州の農業従事者の多くは隣接するジョージア、サウスカロライナ州などに収穫のため移動することから、感染がさらに拡大するリスクがある。

トランプ大統領は4月、国内の食品供給確保に向け、国防生産法に基づき食肉処理施設の操業継続を命じた。先月に入り、トランプ政権は青果生産者も同法の対象とする案を表明している。同法の下、現場の作業員が感染した場合、企業は法的責任から保護される。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・コロナ禍、それでも中国から工場は戻ってこない
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・ロンドンより東京の方が、新型コロナ拡大の条件は揃っているはずだった
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200616issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月16日号(6月9日発売)は「米中新冷戦2020」特集。新型コロナと香港問題で我慢の限界を超え、デカップリングへ向かう米中の危うい未来。PLUS パックンがマジメに超解説「黒人暴行死抗議デモの裏事情」

ニュース速報

ワールド

スイスのスキーリゾートで変異種、ディズニーパリ閉鎖

ワールド

南アのコロナ変異種、感染力強いと確認 再感染の恐れ

ビジネス

米、ノルドストリーム2関与のロシア船制裁 ナワリヌ

ワールド

世界のコロナ死者、「近く」週間で10万人突破へ W

MAGAZINE

特集:バイデン vs 中国

2021年1月26日号(1/19発売)

トランプよりむしろ手ごわい相手? 新・米大統領が習近平の強敵になる可能性

人気ランキング

  • 1

    アイルランド母子施設で子供9000人死亡、発覚したきっかけは...

  • 2

    米大統領就任式を前に州兵の戦闘用車両「ハンビー」が盗難

  • 3

    マジックマッシュルームを静脈注射した男性が多臓器不全、血液中でキノコが育っていた

  • 4

    議会突入の「戦犯」は誰なのか? トランプと一族、…

  • 5

    米司法省、議会襲撃めぐり地方政府当局者を逮捕 大統…

  • 6

    新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」…

  • 7

    「三体」? 3つの恒星を持つ系外惑星が特定される

  • 8

    入院できないコロナ自宅療養者が急増 重症化を察知…

  • 9

    州兵たちの仕事は「愛国」を叫ぶ同胞たちから議事堂…

  • 10

    韓国・朴槿恵前大統領、懲役20年実刑確定で、李明博…

  • 1

    新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?

  • 2

    マジックマッシュルームを静脈注射した男性が多臓器不全、血液中でキノコが育っていた

  • 3

    ビットコイン暴落、投資家は「全てを失う覚悟を」(英規制当局)

  • 4

    無邪気だったアメリカ人はトランプの暴挙を予想でき…

  • 5

    「生意気な青二才」「お前が言うな」批判も浴びた金…

  • 6

    トランプのSNSアカウント停止に、アメリカ国内で異論…

  • 7

    七五三にしか見えない日本の成人式を嘆く

  • 8

    「再選を阻止せよ」浜田宏一・安倍政権元内閣参与が…

  • 9

    議会乱入の暴徒が叫んでいた「ハング・ペンス(ペン…

  • 10

    菅首相、1分に1回以上口にする「ある口癖」 言葉が心に…

  • 1

    「小さな幽霊」不法出稼ぎタイ人、韓国で数百人が死亡 

  • 2

    新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?

  • 3

    脳に侵入する「殺人アメーバ」が地球温暖化により北上しているおそれ

  • 4

    マジックマッシュルームを静脈注射した男性が多臓器…

  • 5

    世界で「嫌われる国」中国が好きな国、嫌いな国は?

  • 6

    ビットコイン暴落、投資家は「全てを失う覚悟を」(…

  • 7

    北極の成層圏突然昇温により寒波襲来のおそれ......2…

  • 8

    無邪気だったアメリカ人はトランプの暴挙を予想でき…

  • 9

    米政権交代で「慰安婦合意」の再来を恐れる韓国

  • 10

    ジャック・マーは中国当局に「消された」のか? 中…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

2021年 最新 証券会社ランキング 投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月