最新記事

アメリカ社会

米首都ワシントンDC、黒人暴行死で最大規模のデモ 全米各地の暴動は沈静化

2020年6月8日(月)11時36分

米首都ワシントンでは6日、黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官による暴行で死亡した事件以来最大規模の抗議活動が行われた。(ロイター/Erin Scott)

米首都ワシントンでは6日、黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官による暴行で死亡した事件以来最大規模の抗議活動が行われた。その他の全米各地でも12日連続となるデモが繰り広げられたが、暴動が沈静化し、概して平和的だった。

ワシントンでは数万人がデモに参加し、警察の暴行への抗議を意味する「息ができない」、「手を上げてるから撃たないで」などのスローガンを唱えながらリンカーン記念堂からホワイトハウスに行進した。

全米の一部の都市では、デモ隊が道路の占拠を試みる場面がみられた。西部ワシントン州シアトルでは、警察がデモ隊に閃光(せんこう)弾を使用した。ただ、この日は、5月25日に中西部ミネソタ州ミネアポリス近郊で起きたフロイドさんの暴行死を撮影した動画が拡散し、デモが広がって以来、最も平和的に実施された。

デモでは、フロイドさんの死による怒りを原動力に、米刑事司法制度や当局によるマイノリティーの扱いの抜本的改革を求める運動を推進するというメッセージが前面に打ち出された。

これまでのデモは一部が暴動化し、放火や略奪、破壊行為が相次いだことを受けて、複数の州で州兵が動員された。ただ、ミネアポリスの検察当局がフロイドさんを死亡させた元警官デレク・ショビン容疑者を当初より重い第2級殺人の容疑で訴追することを決め、現場にいた他の警官3人も殺人ほう助と教唆の容疑で逮捕・訴追したことから、3日以降、沈静化し始めた。

ただ、ミネアポリスではデモ参加者による市警察への資金交付停止の要求を拒んた市長が激しい非難の声やブーイングを浴びるなど、抗議活動の勢いは衰えていない。

白人主義の秘密結社「クー・クラックス・クラン(KKK)」がかつて拠点としていたテキサス州の小さな町ビダーでも、白人と黒人によるデモ隊が「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」のスローガンが書かれたプラカードを掲げて抗議を行うなど、人種差別撤廃を求める動きは人種を越えて広がっている。

人種差別に抗議する動きは国境を越え、オーストラリアのブリスベンやシドニー、ロンドンやパリなど欧州各地でもデモが行われた。

また、こうした抗議活動により、2週間前には考えられなかった警察組織の再編構想も浮上している。

ニューヨークタイムズは、ミネアポリス市議会で7日、警察組織を解体し地域主導で治安維持を図る仕組みを導入する案に過半数が賛成したと報じた。市議の1人はツイッターに「ミネアポリス市議会は、市警察の再編は不可能であるため、現在の警察組織を廃止する方向で合意した」と投稿した。

一方、ニューヨーク市でも、複数の団体が警察に拠出する資金を学校教育に振り向けるよう求めて平和的デモを開催。

批判を受けたデブラシオNY市長は警察への信頼回復に向けた再編計画を発表し、警察予算から有色人種向けの社会福祉などに一定金額を振り向ける方針を明らかにした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・米政権のデモ弾圧を見た西欧諸国は、今度こそアメリカに対する幻想を捨てた
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・黒人男性ジョージ・フロイドの霊柩車に、警官がひざまずいて弔意を示す
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200609issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル

ニュース速報

ビジネス

バイデン氏、米CEA委員長にラウズ氏指名 30日に

ビジネス

中国人民銀、MLFで予想買いの資金供給 市場の動揺

ワールド

トランプ政権、SMICとCNOOCをブラックリスト

ワールド

EU、米新政権に新たな連携の構築を提案へ 中国に対

MAGAZINE

特集:BTSが変えた世界

2020-12・ 1号(11/25発売)

常識を覆して世界を制した「現代のビートルズ」── 彼らと支える熱狂的ファン「ARMY」との特別な絆

人気ランキング

  • 1

    トランプが要求したウィスコンシン州の一部再集計、バイデンのリードが拡大に

  • 2

    プレステ5がネット販売で「1秒後に売り切れ」、ゲーマーの怒りのツイートがあふれる

  • 3

    「実は誰も会った人がいない」韓国政界で囁かれる文在寅の怖い話

  • 4

    熱烈なBTSファンの娘に、親として言いたいこと

  • 5

    中国メディア「コロナ起源は輸入冷凍食品」 西側は反論

  • 6

    【写真特集】いつかこの目で見たい、大自然が作った…

  • 7

    【香港人の今3】「中国製でないほうが、品質がよくて…

  • 8

    インドで「光るキノコ」の新種が見つかる......地元…

  • 9

    中国TPP参加表明の本気度――中国側を単独取材

  • 10

    習近平、人民解放軍に戦勝を指示「死も恐れるな」

  • 1

    プレステ5がネット販売で「1秒後に売り切れ」、ゲーマーの怒りのツイートがあふれる

  • 2

    次期米国務長官から「車にはねられ、轢かれた犬」と見捨てられたイギリス

  • 3

    「燃える水道水」を3年間放置した自治体を動かした中国の証拠動画

  • 4

    女性陸上アスリート赤外線盗撮の卑劣手口 肌露出多…

  • 5

    熱烈なBTSファンの娘に、親として言いたいこと

  • 6

    11月13日、小惑星が地球に最も接近していた......

  • 7

    中国政府、少数民族弾圧はウイグルに留まらず 朝鮮族…

  • 8

    オバマ回顧録は在任中の各国リーダーを容赦なく斬り…

  • 9

    トランプが要求したウィスコンシン州の一部再集計、…

  • 10

    麻生大臣はコロナ経済対策を誤解している?「給付金…

  • 1

    アメリカ大統領選挙、郵政公社がペンシルベニア州集配センターで1700通の投票用紙発見

  • 2

    半月形の頭部を持つヘビ? 切断しても再生し、両方生き続ける生物が米国で話題に

  • 3

    アメリカを震撼させるオオスズメバチ、初めての駆除方法はこれ

  • 4

    女性陸上アスリート赤外線盗撮の卑劣手口 肌露出多…

  • 5

    アメリカ大統領選挙、ペンシルベニア州裁判所が郵便投…

  • 6

    事実上、大統領・上院多数・下院多数が民主党になる…

  • 7

    プレステ5がネット販売で「1秒後に売り切れ」、ゲー…

  • 8

    世界のワクチン開発競争に日本が「負けた」理由

  • 9

    米爆撃機2機が中国の防空識別圏に異例の進入

  • 10

    トランプでもトランプに投票した7000万人でもない、…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月