最新記事

クラスター

北京市、4日間で79人が新型コロナ集団感染 原因は市場のサーモン?

2020年6月16日(火)09時13分

世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏は15日、中国の北京市で発生している新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)について、感染源は特定されていないと語った。北京市内のスーパーで撮影(2020年 ロイター/TINGSHU WANG)

世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏は15日、中国の北京市で発生している新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)について、感染源は特定されていないと語った。同時に、感染源が輸入もしくはパッケージ化されたサーモンとする報道は「第1の仮説」ではないとの見方を示した。

北京市では約2カ月にわたり、新規感染者が出ていなかったが、市内の北京新発地卸売市場から感染が広がり、14日まで4日間に確認された感染者は79人と2月以降で最多となった。これを受け、当局は市内に検問所を複数設け、学校を閉鎖し、感染検査を強化している。

中国国営メディアは北京新発地卸売市場で輸入されたサーモンの処理に使われていたまな板から新型ウイルスが検出されたと報道。ライアン氏は同報道について「第1の仮説とは確信していない。しかし、何が起きたか突き止める必要がある」と語った。

仮に感染源が「欧州で流行した菌株という結果が示されれば、人から人への感染が他の仮説以上に鮮明に示される可能性がある」と述べた。

WHOによると、新規感染では100人以上から陽性が確認されているが、死者は報告されていない。

有識者の間では、サーモンそのものがウイルス感染の要因になった公算は小さく、関係している場合、二次感染が発生した可能性があるとの見方が出ている。

中国はサーモンが感染源になった可能性を懸念し、欧州産サーモンの輸入を停止した。

ライアン氏は、北京市のような大都市での感染は懸念に値するとし、WHOは中国当局と緊密に連携して状況の把握に努めていると表明。「他の国でも見られたが、新たなクラスターの発生は常に懸念材料だ。包括的な対応が直ちに実施されることを望んでいる」とし、中国当局が北京市で広がっているウイルスの遺伝情報を速やかに公表すると「完全に予測している」と述べた。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染48人 2日連続40人超え
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・スウェーデンの新型コロナ感染者数が1日最多に、死亡率も世界屈指
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200623issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月23日号(6月16日発売)は「コロナ時代の個人情報」特集。各国で採用が進む「スマホで接触追跡・感染監視」システムの是非。第2波を防ぐため、プライバシーは諦めるべきなのか。コロナ危機はまだ終わっていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日揮HD、純利益予想を280億円に引き上げ 工事採

ビジネス

日経平均は反落、買い一巡後に調整 ハイテク株安い

ビジネス

出光興産、発行済み株の3.5%・300億円上限に自

ビジネス

午後3時のドルは154円前半、リスクオンで9カ月ぶ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    インスタントラーメンが脳に悪影響? 米研究が示す「…
  • 7
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入…
  • 8
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中