最新記事

新型コロナウイルス

「検査と隔離」もウイルス第2波は止められない 米専門家

Contact Tracing Won't Solve the Coronavirus Crisis: Epidemiologist

2020年5月26日(火)18時15分
フレッド・グタール(本誌サイエンス担当)

確かなのは、経済的な苦境で家計や人々の心が大きな打撃を受けていること。そしてパンデミックが終息にはまだ程遠いことだ。今後は感染拡大の第2波がやってくるかもしれず、第2波は第1波よりも致死率が高くなる可能性もある。「このウイルスは今後も、抗いようのない勢いで広がり続けるだろう」とオスターホルムは言う。「生物学的にも化学的にも物理学的にも、それが自然な流れだ。どんな政策も、それを阻止し続けることはできない」

以下に、オスターホルムと本誌のQ&Aの一部を紹介する。

──あなたは、新型コロナウイルスの感染拡大ペースが緩やかになるのは、人口の60~70%が感染した後になるだろうと指摘している。まだ流行が終わったわけではないことを、人々は理解しているのだろうか?

オスターホルム 人々は、感染拡大の初期のピークをなんとかやり過ごして夏が来れば大丈夫だ、と誤った考え方をしているようだ。気持ちは分かる。誰だって元どおりの生活に戻りたい。私が言っているのは、「(いったんピークがおさまっても)それは一時的に落ち着いただけで、恐ろしい嵐の前の静けさにすぎない」ということだ。

「野球に例えればまだ2回の表」

──ドナルド・トランプ米大統領はずっと、パンデミックは近いうちに過ぎ去ると言ってきた。人々に間違った期待を抱かせたのだろうか?

オスターホルム そのとおりだ。呼吸器疾患を引き起こす病原体は、過去のパンデミックでも、数週間〜数カ月ではなく、数カ月〜数年の単位で続いている。パンデミックとはそういうものだ。

──夏の間にウイルスが消えてなくなるという期待をあなたは恐ろしいと言った。それはなぜか。

オスターホルム それが急激な感染拡大を招くからだ。ニューヨークが経験したより急激な感染爆発が2~3倍の規模で起こったらどうなるかを想像してみて欲しい。ニューヨークの多くの地域では、これまでに新型コロナウイルスに感染した人間が人口の20%にも満たない。集団免疫を獲得し始めることができる60%や70%には程遠い状況だ。私たちはこれまでに散々苦しみ、死者を出し、経済的にも大きな打撃を受けたが、野球にたとえればまだ2回の表が始まったところにすぎないということだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国SMIC、第4四半期は60.7%増益 予想上回

ビジネス

米関税、ユーロ圏物価を下押し 利下げで相殺可能=E

ビジネス

フランス産ワイン・蒸留酒輸出、貿易摩擦の影響で3年

ビジネス

韓国当局、個人情報流出のクーパンにシステムの脆弱性
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 9
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 10
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中