最新記事

感染症対策

WHO「新型コロナウイルス、集団免疫まだ獲得されず」

2020年4月18日(土)10時25分

世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスに感染した人が持つ抗体が再感染を防ぐために十分な免疫力を持つかは現時点では分からないと述べた。写真は1月30日撮影(2020年 ロイター/Denis Balibouse)

世界保健機関(WHO)は17日、新型コロナウイルスに感染した人が持つ抗体が再感染を防ぐために十分な免疫力を持つかは現時点では分からないと述べた。

WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は、抗体に効果があったとしても、多くの人が新型ウイルスに対する抗体をすでに持ち、これによりいわゆる「集団的な免疫」が獲得され始めていることを示す兆候はほとんどないと述べた。

その上で「WHOが現時点で得ている暫定的な情報によると(新型ウイルスに対する)抗体を保有している人の割合はまだ低い」とし、「大半の人が抗体を持っているとの期待に対する証拠は得られていない。このため、政府が抱える問題は解決されない」と述べた。

新型ウイルス感染を巡っては、新型ウイルスの発生地である湖北省武漢市が感染者数と死者数を上方修正。報告の誤りや遅れに対応した修正したとし、死者の数は50%増となった。

WHOの感染症専門家、マリア・ファンケルクホーフェ氏はこれについて、中国当局は葬儀会社や介護施設のほか、発熱センターや病院などからデータを再集計し、自宅で死亡した人たちの数も集計し直したとし、「統計に含まれないケースをなくす取り組みが行われた」との見解を示した。

感染拡大の影響が懸念されているアフリカについては、ライアン氏は「アフリカの各国政府ができることはまだ多くある」とし、感染拡大抑制はなお可能との見方を示した。

国連アフリカ経済委員会(UNECA)はこの日、アフリカで新型ウイルス感染により少なくとも30万人が死亡し、2900万人が極度の貧困に陥る恐れがあるとする報告書を公表した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルス、モノの表面にはどのくらい残り続ける?
・中国・武漢市、新型コロナウイルス死者数を大幅修正 50%増の3869人へ
・イタリア、新型コロナウイルス新規感染者は鈍化 死者なお高水準
・新型コロナウイルスをめぐる各国の最新状況まとめ(17日現在)


20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

東証がグロース市場の上場維持基準見直し、5年以内に

ビジネス

ニデック、有価証券報告書を提出 監査意見は不表明

ビジネス

セブン銀と伊藤忠が資本業務提携 ファミマにATM設

ワールド

トランプ氏、日韓の対米投資「前払い」 見解の相違と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
2025年9月30日号(9/24発売)

トヨタ、楽天、総合商社、虎屋......名門経営大学院が日本企業を重視する理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週にたった1回の「抹茶」で入院することに...米女性を襲った突然の不調、抹茶に含まれる「危険な成分」とは?
  • 2
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 5
    クールジャパン戦略は破綻したのか
  • 6
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 7
    【クイズ】ハーバード大学ではない...アメリカの「大…
  • 8
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 9
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 5
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 6
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 7
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 8
    「ミイラはエジプト」はもう古い?...「世界最古のミ…
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 10
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中