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私が愛した名クオーターバック──トム・ブレイディの栄光に乾杯

My Favorite Brady Moments

2020年4月18日(土)11時00分
ハンク・ギルマン(本誌編集ディレクター)

シアトル・シーホークスと対戦した2014年シーズンのスーパーボウルでのペイトリオッツの勝利も見ものだった。とはいえ、その次に素晴らしかったのはトロフィー授与式での出来事だろう。

ペイトリオッツのヘッドコーチのビル・ベリチックやMVPに選ばれたブレイディが壇上に立つなか、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルはブーイングの嵐で迎えられた。意図的に空気圧の低いボールを使用した疑惑を受けて、グッデルがペイトリオッツとブレイディに対する調査を命じたためだ。ファンにとって実に痛快な瞬間だった。

肝心なときに頼れた男

2018年シーズンのプレーオフが始まる前、ペイトリオッツの評価は最低で、専門家は黄金時代の終焉を予言していた。「事情通」の意見など、ブレイディは無視? いや、もちろん気にしていた。

2019年1月のプレーオフ第2戦を制した直後、不利と言われた次戦についてブレイディはこう言った。「今のチームは最悪で、どんな試合にも勝てないと思われているのは知っている。結果はそのうち分かる。楽しい試合になるよ」

そのとおりだった。ペイトリオッツは次戦にオーバータイムで勝利し、スーパーボウルに進出。見事優勝した。最後は、ロサンゼルス・ラムズを相手にした2018年シーズンのスーパーボウルでのプレーだ。

第4クオーターはディフェンス合戦で、残り時間7分強の時点でスコアは3対3。ブレイディが放った完璧なロングパスを、ロブ・グロンコウスキーがキャッチする(その直後に、ソニー・ミシェルが決定打となるタッチダウンを決めた)。いかにもグロンコウスキーで、いかにもブレイディな瞬間だった。

もちろん「らしくない試合」だったと批判する声はあったが、ブレイディはいつもどおり、肝心なときに本領を発揮したのではないか。この試合の後、すぐに引退を発表したグロンコウスキーも光っていた。

<本誌2020年4月14日号掲載>

【参考記事】29歳天才クオーターバックの早過ぎる引退から学べること
【参考記事】コービーはジョーダンに並ぶ「神」だった

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