最新記事

中露関係

コロナ対策で緊張する中露国境の新たなホットスポット

China's New COVID-19 Hotspot on Russian Border Raises Tensions

2020年4月20日(月)18時00分
ケネス・ローゼン

巨大なマトリューシカ像がある中露国境の町、黒竜江省の綏芬河市(4月12日) Huizhong Wu-REUTERS

<ロシアからの輸入症例の増加に戦々恐々の中国と、国境封鎖で取り残された中国人をさっさと帰したいロシア>

ロシアと国境を接する中国・黒竜江省の町、綏芬河は人口約7万人の小さな町。主要産業である木材加工の機械は停止し、残った作業員は手作業で木を切り、仕分けている。ついこの間まで、湖北省武漢を中心に広がった新型コロナウイルスは、はるか遠い場所の出来事でしかなかったと、木工所の監督を務めるスー・ウェイは言う。何しろ、ロシア沿海地方のウラジオストクからたった120キロのこの町は、武漢から2000キロも離れているのだ。

だがこの町は今、中国の最新の感染拡大中心地「ホットスポット」となった。近年、中国とロシアは欧米諸国との対立の中でいわゆる「戦略的パートナーシップ」を結んできた。だが両国の国境は封鎖され、ロシア側に取り残された中国人の帰国をめぐり両国関係を緊張させている。

中国での新型コロナウイルスの感染拡大は3月中旬以降、沈静化に向かっている。国家衛生健康委員会の広報官も「大まかに言えば国内での流行は山を越えた。新たな感染者の増加も下火になってきている」と述べている。だが一方で、中国は外国(多くがロシア)から流入した感染者、いわゆる「輸入症例」による感染の再拡大を防ごうと必死だ。

<参考記事>中国、コロナ感染第二波を警戒

コロナ禍でロシアから多数が帰国

一方、ロシアでは感染者が急増している。19日にロシアのメディアが伝えたところによれば、過去24時間に新たに確認された感染者の数は6060人に上り、累計で4万2853人に達した。これまでに361人が死亡したという。

母国の医療の方が信頼できると考えてロシアから綏芬河を経由して帰国した中国人は2000人を超える。だが中露国境は7日に閉鎖され、ロシア側に取り残された人も少なくない。帰国組の中にははるか西のモスクワから来た人もおり、おかげで綏芬河は新型コロナウイルス感染の新たな中心地になってしまった。

「国境封鎖からは、中国がロシアのような同盟国との関係で直面している厄介な状況が見えてくる」と、清華大学で教鞭を執ったこともある独立系研究者のウー・チアンは英ガーディアン紙に語っている。

綏芬河はいわばロシアとの玄関口。道路標識や店の看板もロシア語と中国語の両方で書かれている。ロイターが伝えたところでは、この町の木材加工場では従業員の3分の2が感染を恐れて出勤していないという。

「(従業員からは)怖いから行きたくないとはっきり言われた。無理強いすることもできない」と、スー・ウェイは言う。

<参考記事>次の戦争では中・ロに勝てないと、米連邦機関が警告

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米NEC委員長「利下げの余地十分」、FRBの政治介

ワールド

ウクライナ、和平計画の「修正版」を近く米国に提示へ

ビジネス

米10月求人件数、1.2万件増 経済の不透明感から

ワールド

スイス政府、米関税引き下げを誤公表 政府ウェブサイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中