最新記事

中国製品

中国製コロナ検査キット使い物にならず、イギリス政府が返金を要求へ

U.K. Says Millions of Coronavirus Test Kits Bought From China Do Not Work

2020年4月8日(水)17時25分
デービッド・ブレナン

PHEのシャロン・ピーコック博士は、指先を針で刺して出た血液だけで検査できるキットを「ゲームチェンジャー(形勢を逆転させるもの)」と持ちあげていた。この検査では、すでにウイルスに対する免疫ができている人を確認することができる。そうした人をロックダウンから解放し、職場復帰を許可できるようになれば、徐々に社会も正常化するのではないかと期待されていた。

ピーコックは当初、数日以内に検査を開始すると話していたが、検査キットの明らかな不具合により、イギリス国民はさらに長い待ち時間を余儀なくされることになる。とはいえ、政府の主席医務官を務めるクリス・ウィッティは6日、信頼できる検査がいずれ開発されると確信していると語った。

イギリス政府は今後、不適切な装置に対する返金を求めていくことになるとテレグラフ紙は伝えている。

イギリスは現在、COVID-19感染拡大の「カーブを平らに」しようとしている段階にあり、少数の例外を除き、国民には外出禁止令が出されている。一方、3月の検査で陽性と判定されたボリス・ジョンソン首相は、6日に病状が悪化したのち、ロンドン市内の病院の集中治療室に入院している。

欧州諸国では、中国から入手した医療関連製品の性能に対する苦情が相次いでおり、イギリスはその最新事例だ。国内の流行が抑制されたように見える中国は、目下ウイルスと闘っている世界各国を支援する方向に転換しつつある。中国政府は欧州や北米などに、医師や大量の物資を送っている。

だが、スペイン、オランダ、チェコといった国はいずれも、欠陥やそのほかの不備があるとして、中国企業が提供した大量の医療関連製品の受け取りを拒んでいる。

(翻訳:ガリレオ)

202003NWmedicalMook-cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

SPECIAL EDITION「世界の最新医療2020」が好評発売中。がんから新型肺炎まで、医療の現場はここまで進化した――。免疫、放射線療法、不妊治療、ロボット医療、糖尿病、うつ、認知症、言語障害、薬、緩和ケア......医療の最前線をレポート。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中