最新記事

新型コロナウイルス

FOXニュースで医師がトランプのコロナ対応を酷評

Dr. Desai Trends Following Fox News Interview Attacking COVID-19 Response

2020年4月3日(金)14時55分
イワン・パーマー

コロナ危機の当初、「こんなものはすぐに消えてなくなる」と無視したトランプ Tom Brenner−REUTERS

<トランプ政権の対応の遅れを批判し、全米一斉のロックダウンを呼びかけた医師に称賛>

アメリカで保守系ケーブルテレビ局FOXニュースの番組に出演した医師が、新型コロナウイルスに関する米政府の対応を酷評した。この動画がインターネット上で広まり、医師を称賛する声が上がっている。

医療系学習サイト「Osmosis(オズモーシス)」の医療担当部長であるリシ・デサイ博士は4月1日、マーサ・マッカラムがホストを務める番組に出演。米政府はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大に対処するために、数百万人が検査を受けられる態勢を整えるとしているが、マッカラムがこの話題を出すと、デサイはそれを否定するように首を横に振り続けた。

マッカラムはさらに、大手製薬・医療用品メーカーのアボットが、血液検査によって感染の有無を判断できる検査装置を開発したことにも言及。食品医薬品局(FDA)の承認を得て、今後この検査装置が普及する見通しだと指摘して「政府も対策に取り組んでいる」と述べたが、デサイはこれに対して「こうした取り組みは何カ月も前に行うべきだった」と反論した。

そして彼は、WHO(世界保健機関)は中国での新型コロナウイルスの発生を受けて、2019年12月31日に同ウイルスについて正式な警告を発信していたと指摘。それなのにドナルド・トランプ政権は、今になってようやく検査態勢の強化に本腰を入れ始めたと批判した。

<参考記事>「社会的距離」を無視するトランプが、距離を取りたい相手(パックン)

韓国と比べて対応のまずさが際立つと指摘

「私たちは昨年の時点で、COVID-19が今後アメリカにもやってくることを知っていた。呼吸器系の病気であることも、人から人に感染する病気であることも知っていた」とデサイは指摘。「それなのにFDAがアボットの新たな検査装置を承認したのは今週になってからだし、この検査装置では1度に1人の検査しか行えない」と語った。

「誤解のないように言っておくと、15分で結果がわかる検査自体は素晴らしい。だがまだ1回に1つしか検査ができる、必要な数の検査をこなすには不十分だ。もっと前からこうした検査装置を用意しておくべきだった」

デサイはさらに、韓国と比べてみると、アメリカの対応がいかにひどいかがよく分かると語った。韓国もアメリカも、初の感染者が報告されたのは1月19日だったが、ジョンズ・ホプキンズ大学によれば、アメリカではそれ以降、世界で最も多い21万6000人を超える人の感染が確認されている。これに対して韓国はいち早く大量検査のシステムを整えたことで、新たな感染者は1万人未満に抑えられているという。

「韓国の人口はアメリカの6分の1だが、感染者の数と死亡率を見ると、アメリカよりはるかに優秀だ」と彼は指摘。「韓国が積極的な対応を取ったのに対して、アメリカの対応がまずかったことを意味している」

<参考記事>日本が韓国の新型コロナウイルス対策から学べること──(1)検査体制

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年2月以来の低水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    ロシア黒海艦隊「最古の艦艇」がウクライナ軍による…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中