最新記事

北朝鮮

新型コロナウイルスに厳戒態勢の北朝鮮 中国との国境封鎖で強硬措置、銃撃も

2020年3月6日(金)15時45分

中国当局は、北朝鮮国境近くの住民に対して国境に近づかないよう警告文を配布している。写真は2017年11月、北朝鮮の新義州と中国の丹東の間を流れる鴨綠江で撮影(2020年 ロイター/Damir Sagolj)

中国当局は、北朝鮮国境近くの住民に対して国境に近づかないよう警告文を配布している。北朝鮮が新型コロナウイルスの流入を恐れて中国側からの越境を禁止しており、北朝鮮国境警備隊が銃撃してくる可能性があるというのだ。

地元住民によると、警告は今週、印刷物で出回った。友好関係にある中国と北朝鮮の国境は1400キロにも及び、冬には国境沿いを流れる鴨緑江が凍結、往来が可能になる。

警告書を受け取った住民3人によると、中国・吉林省の集安と白山の住民は、国境に近づき過ぎると銃撃される危険があると伝えられた。ロイターが書面を確認した。集安のレストランオーナーは「国境地帯に近づき過ぎれば殺されるかもしれないと言われた」と話した。

今週の書面によると、住民は魚釣りや家畜の放牧、鴨緑江近くへのごみ捨ても禁じられている。北朝鮮が新型ウイルスの危機評価を最高レベルに引き上げており、中国政府に対し市民が銃撃されて死亡することがないよう国境管理を厳しくするよう要請したという内容だ。

中国当局は警告書で「公安当局は国境を毎日24時間監視し、見つかれば誰であろうと当局に拘束される」としている。

集安の宣伝当局者はロイターの電話取材に対して、国境管理当局がこうした警告を出したことを認めた。この当局者は、こうしたメッセージの文言は一部地域では行き過ぎている可能性もあると語った。

ロイターは、白山市当局者からの確認はできなかった。他地域でもこうした通知が出されたかどうかは不明。中国外務省はコメント要請に応じていない。

世界的に孤立し、経済的に困窮する北朝鮮は2014年のエボラ出血熱など世界的な感染症流行に際して、厳しい入国禁止措置を取ってきた。

北朝鮮では今回、新型ウイルスの感染を報告していないが、専門家は、ここ数週間で取られた措置は過去の事例をしのいでいると話す。北朝鮮は新型ウイルス感染の震源地である中国との渡航と交易をただちに制限した。

ロイターの報道によると、北朝鮮は1月に旅行代理店に対し、中国との国境を封鎖すると伝えた。北朝鮮の数少ない対外収入の一つを遮断したことになる。国境近くで働く消息筋によると、両国間の貿易は公式、非公式を問わずほとんどが影響を受けている。

中国経由での脱北を支援している活動家らによると、もともと危険が高かった脱出行は国境封鎖でほぼ不可能になったという。

[シンガポール/ソウル 5日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルス感染症はいつ、どう終息するのか
・韓国、新型肺炎の激震エンタメ界も BTSは20万人ライブ中止、ファンがとった行動は──
・イタリアが「欧州の武漢」に なぜ感染は急速に広がったのか


20200310issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月10日号(3月3日発売)は「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集。中国の教訓と感染症の歴史から学ぶこと――。ノーベル文学賞候補作家・閻連科による特別寄稿「この厄災を『記憶する人』であれ」も収録。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、空挺部隊数千人を中東に増派へ イランへの派遣は

ワールド

イスラエル、レバノン南部に「緩衝地帯」構想 国防相

ワールド

欧州委、ロ産原油輸入停止法案先送り 「地政学的状況

ワールド

米TSA職員450人超辞職、2月政府閉鎖以降 空港
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆保険」を達成した中国の医療保険の実態とは
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下位になった国はどこ?
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 6
    スペイン王室、王妃と王女の装いに見る「母から娘」…
  • 7
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 8
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 9
    表情に注目...ニコール・キッドマン、大富豪夫妻から…
  • 10
    イラン戦争、トランプを泥沼に引きずり込む「5つの罠…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中