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新型肺炎 何を恐れるべきか

知っておきたい感染症との闘いの歴史──次のパンデミックを防ぐために

HOW TO STOP THE NEXT PANDEMIC

2020年3月5日(木)18時45分
アニー・スパロウ(米マウント・サイナイ医科大学助教)

疾病管理に国際政治の力学が

その後WHO(世界保健機関)の設立に向けて1946年に採択されたWHO憲章は、健康を「病気や病弱でないだけではなく、肉体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であること」と定義した。「病気ではない」というだけのISCの定義からの大転換だった。

この年にニューヨークで開かれた国際保健会議は、WHOの使命をこうした前向きな展望に沿って定めた。単に予防接種などを行って感染と闘うだけでなく、食生活の改善や体育指導、医療、医療保険といった分野にも積極的に関わることになった。

だがこの新構想は、同時に始まった冷戦に阻まれる。アメリカとソ連は疾病管理にも国際政治の力学を持ち込んだ。この状況下でWHOは、もっぱら医療と科学の技術向上に的を絞った活動を行うようになる。

今も国際的な対応は、「欧米諸国にとって脅威となる疾病」に偏っている。マラリアやコレラ、結核など、流行する地域は狭いものの多くの人命を奪う病については、対策資金も少なく注目度も低い。

世界的に感染が拡大するかどうかは、国際協力の程度に左右される。新型コロナウイルスへの対応も例外ではない。

先進国には最新の検査設備と最高の医療があるが、他の多くの国には適切なヘルスケアもない。西洋社会が疾病管理に固執してきたせいで、基本的なヘルスケアの確保はおろそかにされてきた。

パンデミックは人類にとって最大の脅威だ。そして最大の課題は、これを防ぐという強固な意思を人類全体が共有することだ。

From Foreign Policy Magazine

<2020年3月10日号「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」より>

20200310issue_cover150.jpg
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2020年3月10日号(3月3日発売)は「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集。中国の教訓と感染症の歴史から学ぶこと――。ノーベル文学賞候補作家・閻連科による特別寄稿「この厄災を『記憶する人』であれ」も収録。

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