トランプの「麻薬カルテル攻撃」は正解か?...9月には米軍がメキシコ領内で「軍事行動」の可能性も
Trump Strikes on Mexico Cartels Could Backfire Disastrously

メキシコのシェインバウム大統領 ZUMA Press Wire via Reuters Connect
<フェンタニルを扱う組織への「ドローン攻撃」が想定されるが、それは複雑かつ危険すぎる──>
トランプ米大統領が、メキシコの麻薬カルテルへの軍事力行使を指示したようだ。報道によれば、9月半ばに攻撃準備が整い、米軍がメキシコ領内で活動する可能性もある。
米国務省は2月、メキシコのカルテルや中南米の多国籍犯罪組織を、外国テロ組織と特別指定国際テロリストに指定。トランプ政権は数週間前から、メキシコなどの近海に軍艦や人員を派遣している。
「ドローン攻撃が想定されるが、メキシコの合成麻薬フェンタニルの製造・密売は、民家などに細分化している。ドローンで攻撃するのは複雑で危険だろう」と、NGO国際危機グループのデービッド・モラ上級アナリスト(メキシコ担当)は語る。
2国間関係への影響も懸念される。メキシコのシェインバウム大統領は、移民や麻薬のアメリカ流入阻止に努め、貿易問題などをめぐり対米関係に心を配っている。「アメリカが一方的な行動に出れば、政治的に極めて微妙な事態になる」と、モラは警告する。