最新記事

性的虐待

性的虐待への巨額賠償が、米ボーイスカウト連盟を破産に追い込んだ

Boy Scouts of America Files for Bankruptcy After Surge in Sex Abuse Lawsuits

2020年2月21日(金)14時00分
エリオット・ハノン

米ボーイスカウト連盟が1950年にペンシルベニア州で開催した全国キャンプ大会 Courtesy U.S. National Park Service/REUTERS

<オレゴン州の裁判では、数百人の加害者の性的虐待を記した内部文書が明らかになっていた>

ボーイスカウトアメリカ連盟は、過去の性的虐待に関する数百件の賠償訴訟によって巨額の賠償の支払いに直面する見通しとなったことから、18日に破産申請を行った。

デラウェア州の裁判所に提出された破産申請によると、連盟の負債は10億ドルという膨大な金額に上り、連盟の資産は100億ドルとされている。

創設から100年以上の歴史を誇り、現在も200万人の青少年メンバーを抱える連盟は、全国で次々に提訴される賠償訴訟を受けて、2018年12月から破産申請の準備を進めていた。

今後は破産保護のもとですべての訴訟を統合して和解交渉に入り、最終的に一括の和解合意を目指すと見られている。

チームドクターが複数の女子選手に性的暴行を続けたアメリカ体操連盟の性的虐待事件や、全米各地のカトリック教会が児童への性的虐待を行っていた事件でも、今回と同様の手法が巨額な賠償責任への対処法として採用されている。

連盟のジム・ターリー全国議長は破産申請に際して、「連盟は(被害者の)皆さんを信じているし、必ず賠償に応じる。皆さんと家族にカウンセリングを提供するプログラムも用意している」と、被害者と家族に呼び掛けた。被害者への賠償を進めるうえで信頼を維持するために破産を宣言した、とターリーは話している。

体面を優先させた連盟

連盟を破産に追い込んだ一連の訴訟のきっかけになったのは、2010年にオレゴン州の裁判所が、連盟に対して過去最高の1850万ドルの損害賠償の支払いを命じた判決だった。

ニューヨーク・タイムズの報道によると、この裁判の弁護人ポール・モーンズが、当時この事件が氷山の一角でいずれは連盟を破産に追い込むことになると同僚と話し合っていた、と報じている。さらにモーンズは、連盟は長年に渡る被害者への賠償基金を設立することもなく、体面を保ち続けようとした、と語っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ベトナム、新興国格上げ目前に海外資金流出

ワールド

アングル:メキシコ「麻薬王」拘束作戦の立役者、家族

ワールド

イラン戦争は2週目に、トランプ氏「無条件降伏」求め

ビジネス

アングル:欧州で若者向け住宅購入の新ビジネス、価格
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 2
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 3
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 4
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 5
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 6
    女性の顔にできた「ニキビ」が実は......医師が「皮…
  • 7
    大江千里が語るコロナ後のニューヨーク、生と死がリ…
  • 8
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 9
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 10
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ル…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中