最新記事

フェイクニュース

新型コロナウイルス禍でロシアがフェイクニュースを拡散する?米軍が監視

Military Tracking Russia News Outlets for Coronavirus Disinformation

2020年2月7日(金)15時34分
ジェームズ・ラポルタ、デービッド・ブレナン、ジェニー・フィンク

ロシアは新型コロナウイルス感染に対する恐怖を利用したい(写真はニューヨークの地下鉄) Nick Zieminski-REUTERS

<国防総省がロシア政府系のソーシャルメディア・アカウントを監視・追跡した機密扱いの報告文書を入手>

ニューズウィークが入手した米国防総省の文書によれば、米軍はロシアが新型コロナウイルスに関する虚偽情報を広めようとした場合に備えて、ロシア政府が運営する(またはロシア政府が発信元の)アカウントを監視していることがわかった。

同文書によれば、ロシアの主要メディアのツイッター・アカウントで1月28日から2月3日の間に最も多く使われたハッシュタグが「コロナウイルス」だった。WHO(世界保健機関)はソーシャルメディア上に新型コロナウイルスに関する情報が溢れていることを懸念。虚偽情報の拡散は効果的な対応の障害になるとして、「インフォデミック(根拠のない虚偽情報が大量に拡散されること、WHOの造語)」を減らすための取り組みを行っている。

本誌が入手した文書からは、秋に大統領選を控え、米軍がソーシャルメディアの監視を行っていることが明らかになった。軍のサイバー司令部は、ロシア政府が2020年の米大統領選において、2016年の時に匹敵するレベルの介入を行う可能性を見込んでいる。

ツイッター上のロシア情報を追跡

パワーポイントで作成され、「機密扱い」と注記されているスライドには、米北方軍がツイッター上のロシア情報を追跡した結果が示されている。追跡・監視の対象はスプートニク、RT(ロシア・トゥデー)、ロシア国防省系のテレビ局「ズベズダ」、およびこれらのメディアの各国語版(英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、トルコ語)などの各種メディアで、ツイート数や「いいね!」数が多いアカウントや最もよく使われているハッシュタグ、キーフレーズ、最も多くの反響があった記事などが列挙されている。

スライドの1枚には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が腕を前方に伸ばして開き、ツイッターやYouTube、フェイスブックなどのソーシャルメディアを通じてロシア政府のメッセージをばら撒いているようなイラストが描かれている。同文書はアメリカの複数の当局者(匿名希望)が入手し、本誌に提供した。

北方軍の報道官は声明を出し、「文書は北方軍の現在の評価、取り組みや作戦を示すものではない」と説明。「これらの文書から何であれ結論を導き出すのは、適切ではない」とした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、対ロ制裁法案に署名へ 最終権限保持なら

ビジネス

エアバス、A350の大型派生機を現在も検討=民間機

ビジネス

ヤム・チャイナ、KFC・ピザハット積極出店・収益性

ビジネス

午前のドル155円前半、一時9カ月半ぶり高値 円安
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 7
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 10
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中