最新記事

新型ウイルス

米政府、新型コロナウイルスで緊急事態宣言 強制隔離や入国禁止措置実施へ

2020年2月1日(土)08時48分

米政府は新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大について、公衆衛生上の緊急事態を宣言した。写真は会見するアザー米厚生長官。ワシントンで撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

米政府は31日、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大について、公衆衛生上の緊急事態を宣言した。

アザー米厚生長官は、前日の世界保健機関(WHO)による緊急事態宣言を踏まえ、「米国としての公衆衛生上の緊急事態を宣言する」と表明した。

米国内での感染拡大阻止に向け、新型肺炎の震源とされる中国・湖北省に渡航した米国民を強制的に隔離するほか、過去14日間に中国に滞在した外国人の入国を拒否する措置を講じる。2月2日から実施する。

中国からの反発は必至だ。この日の緊急事態宣言に先立ち、米国務省は前日、中国への渡航警戒レベルを引き上げ、米国民に中国に渡航しないよう勧告。これに対し、中国外務省の報道官は「WHOは渡航制限を控えるよう各国に促したが、米国はすぐさま正反対の動きに出た」とし、「実に卑劣だ」と批判していた。

これまでに新型コロナウイルスよる肺炎の死者は中国で213人に達し、世界の感染者が1万人に迫っている。

この2日間でロシア、英国、スウェーデン、イタリアで初の感染例が報告され、感染は少なくとも25カ国に広がった。人から人への感染例も日本、米国、ドイツ、ベトナムの4カ国で8件確認されており、他の多くの国も感染拡大防止に腐心する。

ロシアは国内で感染者が確認されたことを受け、中国への直行便の運航を制限する方針を表明した。シンガポールは、中国人旅行者や中国を最近訪れた外国人旅行者の入国をすべて禁止すると発表。2月1日から実施する。イタリアも中国便の運航を当面停止すると発表した。

航空会社による中国便の調整や運休も相次ぐ。米アメリカン航空グループとデルタ航空はこの日、米国と中国を結ぶ全便の運航を停止すると発表。アメリカン航空は同日から3月27日まで中国発着便の運航を停止、デルタ航空は2月6日から4月30日まで運休とする。

新型肺炎の感染拡大による中国経済への打撃が不可避とみられる中、世界株安が続いてる。ムーディーズは影響が「世界にこだまする」恐れがあると指摘する。

中国で事業を展開する企業も対応に追われている。仏PSA新型肺炎の震源とされる湖北省武漢市にある3工場を2月半ばまで引き続き閉鎖すると発表。韓国の現代自動車は、新型肺炎の感染拡大による供給網の混乱を受け、今週末にスポーツ多目的車(SUV)の生産を停止する計画を示した。

こうした中、新型ウイルスの震源地とされる湖北省では、武漢市を中心に車両の通行が事実上封鎖されているものの、長江に架かる橋を徒歩で渡って同省に出入りすることは依然可能であることが分かった。

武漢市トップの馬国強・市党委員会書記は、コロナウイルスの感染抑制に向け早めに対処すべきだったと述べ、初動対応の遅れを認めた。

[ワシントン/上海/北京 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200204issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月4日号(1月28日発売)は「私たちが日本の●●を好きな理由【中国人編】」特集。声優/和菓子職人/民宿女将/インフルエンサー/茶道家......。日本のカルチャーに惚れ込んだ中国人たちの知られざる物語から、日本と中国を見つめ直す。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイランに新たな攻撃、「米と交渉せず」と

ワールド

米戦闘機が墜落、クウェートが誤射 ドローン攻撃続く

ビジネス

英住宅ローン承認件数、1月は2年ぶり低水準 予想外

ワールド

IAEA、核施設に「被害の兆候なし」 ナタンツ攻撃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医師が語る心優先の健康法
  • 4
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 5
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 6
    「本当にテイラー?」「メイクの力が大きい...」テイ…
  • 7
    「高市大勝」に中国人が見せた意外な反応
  • 8
    【銘柄】「三菱重工業」の株価上昇はどこまで続く...…
  • 9
    【銘柄】「ファナック」は新時代の主役か...フィジカ…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 8
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中