最新記事

インドネシア

全長4mのワニ、ドローン行方不明などで救助作戦失敗 「クロコダイル・ダンディ」リベンジ誓う

2020年2月20日(木)17時40分
大塚智彦(PanAsiaNews)

オーストラリアの専門家をして「この川に住むワニのボス的存在」と言わしめたタイヤにはまったワニ Antana Foto Agency - REUTERS

<オーストラリアから専門家が参加した救助作戦、人びとの注目が集まり過ぎて失敗?>

インドネシア・スラウェシ島パル市内の川に現れた、首にバイクのタイヤがはまった全長約4メートルのワニ。これを救出しようとオーストラリアから駆けつけたワニの専門家による捕獲、救出作戦が行われたが、失敗に終わり、インドネシア政府からの許可期限が切れたことなどからオーストラリア人が現場を離れ帰国していたことが2月20日までにわかった。

現地の自然保護局などは救出作戦に関しては今後も継続する方向で検討しており、オーストラリアからの助っ人も「5月にも再度挑戦したい」としている。しかし、とりあえず内外のメディアの大きな関心を集めて鳴り物入りでスタートした"クロコダイル・ダンディ"によるワニ捕獲作戦の第1弾は成果をあげることなくひとまず終幕となった。

2月12日から本格的に始まった作戦には自然科学系メディア「ナショナル・ジオグラフィック」の豪版人気番組「アウトバック・ラングラー」でメインキャストを務めるマシュー・ニコラス・ライト(マット・ライト)氏とワニ専門家のクリス・ウィルソン氏の2人が参加。中部スラウェシ州環境保護局や地元パル市自然保護団体の関係者、ボランティアなどとチームを組んで捕獲に乗り出した。

まず、エサとして生きたアヒルを入れた罠(わな)となる鉄製の檻に6つのプラスチック製浮きをつけ、ワニがよく目撃されるパル川の中ほどに2つ設置。ワニが罠にかかるのを待つ作戦に着手した。

エサを吊り下げたドローンも川に消える......

しかし、数日待っても罠にかからなかったことから作戦を変更。川の上を飛ぶドローンに紐でアヒルをぶら下げてワニを誘ったり、銛(もり)での捕獲を昼夜にわたって何度も試みたりした。

このうちドローン作戦はエサにワニが飛びつくのを誘う作戦だったが結果ははっきりしないものの、エサとドローンは共に行方不明となってしまった。一方、銛での捕獲は、エサ場とみられる場所を銛で突いたりしておびき出そうとしたものの、姿をみせてもすぐ姿を消してしまうなど結局捕獲するには至らず、首にはまっているタイヤを外すという目的を達成することは叶わなかった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

タイ憲法裁、首相の職務停止 軍批判巡る失職請求審理

ワールド

ロシア、ウクライナ東部ルハンスク州全域を支配下に 

ビジネス

仏ルノー、上期112億ドルの特損計上へ 日産株巡り

ワールド

マスク氏企業への補助金削減、DOGEが検討すべき=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 4
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中